働く広場2022年12月号
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年にできた安全健康推進部で行っていた機能を充実させるため、名称変更などを経て2020年に独立した。ミッションは「障がいのある人もない人も、活き活きと働くことができる職場環境を実現する」だ。実習から採用、入社3カ月までの個別面談、社内研修やケース検討会、文化祭などのイベントなどを担当している。管理職への昇進者を対象にした年2回の研修では、障がい種別やハラスメントについて話すが、「専門家がいるわけではないので、みんなで助け合うための心がまえのようなものを共有する場です」と延岡営業所所長の工藤さんはいう。社長の押本さんは、「現場の障がい理解を広げながら、同時に、サポートする側がつぶれないよう後方支援にも力を入れています」と語る。活き活き推進部の部員は3人。その1人、田た口ぐ知と枝えさん(52歳)は、2010年入社で、いまは延岡営業所総務課の係長も兼任している。「私たちは専門の資格などを持っていなかったため、相談を受けることに不安がありました。新入社員のお世話係のような立場でスタートしました」という。田口さんは以前、精神科病院内の売店で患者に接客した経験があり、自身も腎臓移植による内部障がいや闘病で、いくつもの苦しみや壁を乗り越えてきた。「人生経験を糧かに、アドバイスできることもあるかなと感じています」個別に相談したいという人のために、周囲にわからないよう時間や場所を決めたりメールなどで応じたりしている。「自分から相談に来れる人は対応することができるのでよいのですが、行動を起こせない人も少なくないので、できるだけ私たちからもアプローチして、『なにかあれば相談しよう』と思ってもらえる存在になりたいですね。そのきっかけづくりも企画しているところです」 障新が規い事の業あるを従次業々員と数は、この10年で約200人から500人超と年平均30人ずつ増えている。押本さんは、「旭化成グループの拡大や法定雇用率引き上げを考慮すると、この先も同様のペースで採用すべき状況です。現在の業務には、需要が先細りするものもあるので業務開拓は欠かせません」という。そこで新たにス【農業】2016年に社内プロジェクト【窯業】手先を使ったものづくりが向いタートした3事業を紹介したい。を立ち上げ、2019年に農業推進課が発足。「以前から行っていた工場敷地内の花壇管理で、購入していた苗を栽培してみようと始まりました」と工藤さん。延岡市内の農地20アールほどを借り、農業大学卒業者や農業経験のある従業員4人と障がいのある従業員4人が、農家の指導も受けながらナスなどの野菜や花苗を育てている。収穫野菜は月500㎏ほどで、地元の卸売市場や直売所で販売。工藤さんは「自分たちの手で育てあげて商品として売り出す達成感は大きいですね。まだ試行錯誤の段階ですが、休耕地を活かしながら拡大し、別部署のみなさんが収穫の応援に来られるようになれば楽しみも増えます」と意欲的だ。ている従業員のために考案。ろくろなどを使わずにできる小皿や箸は置きなどを電気窯で製作している。グループ会社の営業用にと売り込んだが、手ごたえがなく販路開拓に悩んでいたところ、窯業に人脈のあるオフィスサービス課課長の木村進二さんの紹介で、神社の「かわらけ投げ」(素焼きの皿などを投げる願かけ)に使う小皿を手がけることになった。いまは月3~4千枚の小皿を6人体制もちして8 「職活場き活のき理推解進促部」進のと活後動は方、支2援009農地でのナス収穫作業(写真提供:株式会社旭化成アビリティ)部員と打ち合わせを行う田口さん(中央)活き活き推進部、総務課係長兼任の田口知枝さん

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