働く広場2022年12月号
27/36

お話をうかがった。社名にある「SWIMMY」は絵本作家レオ・レオニの絵本に由来し、個々の特性や能力が全体の集まりとなって、より大きな力を創造させたいという想いが込められたものだそう。当事者の社員の特性を見きわめ、同社から本社への異動を実施したとのこと。特例子会社から本社への異動というのはあまり聞かない事例である。ますます京都府北部の障害者就労を牽引していくに違いないと感じた。最後に、SPIS研究所理事長で臨床     込むこと。その外部支援者を育成するこ心理士の宇田亮一さんに、お話をうかがった。は三つ。外部支援者を企業のなかに送りと。そして企業の職場担当者を育成すること。「対話を重視する」システムです。精神・発達障害者の就労定着がうまくいかない一つの要因として、「対話がうまく嚙み合っていない」ことがあります。その際、当事者だけでなく、職場担当者や外部支援者の「自己理解が足りていないこと」が実は大きな問題なのです。職場担当者自身が「自分の鎧■が脱げた」瞬間に対話が変わります。人は自分の弱さを出せたとき、対話の楽しさに気づくのです。鎧を身に着けて企業の成果をあげる側面と、鎧を脱いで心を通わせる側面。この両方が相乗効果を上げるためには職場が「安心安全な職場」であることが不可欠です。めて会ったとき、彼は「自分の障害を認めれば職場に居づらくなる」と思っていると感じました。そうしたなかで、浜田さんと迫田さんと外部支援者の灘友さんがSPISで熱心にサポートされることを通じて、SPISが内藤さんにとって「安心で安全な居場所」になっていくのです。その途端、彼はすぐに自分の障害を認めるようになりました。そこからすべてが変わっていくのです。研究所の外部支援者がサポートに入りますが、最終目標は企業におけるナチュラルサポートです。つまり、外部支援者がフェードアウトしていくのです。「企業内部の対話で十分やり取りできる」というチームづくりが理想です。■■障害者雇用の経験が浅いなかで担当者に任命された方は、当事者にどのように接したらよいのか、どう声をかけたらよいのかを悩んでしまうことが多い。そのようなときは外部の支援専門機関をうまく利用すること、そして当事者を孤立させないために、担当者の不安をぬぐうことが重要である。谷垣さんは、「遠慮と配慮は違う」と明確にいった。この言葉で迫田さんは不安が払拭されたという。困ったときにアドバイスをもらえる安心感のある環境で、お互いが育ち、育てられる形になる。そして信頼関係を構築するためにSPISを用い、両者の間に立ちはだかっていた壁を取り除く。こうして自分の本音を吐き出して対話することが、実際に戦力化しているポイントである。日東精工執行役員の桐村さんが、「城山工場には変なこだわりのない『やってみよう』という自由な雰囲気の文化がある」と話されていた。それが浜田さん、迫田さんの気持ちを後押しした。「多様な人材の活躍」がキーワードの昨今、対話を通して活躍の場を提供する取組みが、新入社員やメンタル不調者などへも広がりつつあり、今後、どのような展開になるのかとても楽しみである。SPISとは何か?育つ環境、育てる環境―SPIS研究所を立ち上げた目的は?宇田:2018年に設立しました。目的―SPISとは何か?宇田:SPISは障害者雇用の現場で―日東精工での取組みについては?宇田:日東精工で当事者の内藤さんに初―SPIS活用の最終着地点は?宇田:最初は月に一度の面談にもSPIS東京都渋谷区のSPIS研究所でお話をうかがった特例子会社の日東精工SWIMMY株式会社のオフィスでは、書類のデジタル化が行われていた日東精工SWIMMY株式会社代表取締役社長の檀野佳子さん働く広場 2022.1225

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る