働く広場2022年12月号
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現在、障害者雇用促進法に基づいて、企業(事業主)は、雇用している労働者数に対して一定の割合(法定雇用率)で障害のある人を雇用することが義務づけられています。その割合は、2018(平成30)年に民間企業で2・0%から2・2%に引き上げられました(※1)。この法定雇用率の引上げと同時に、精神障害のある人が法定雇用率の算定対象に加わりました。このようなことから、雇用している障害者数のうち、精神障害のある人の占める割合は年々上昇しています。ところが、精神障害のある人の雇用は、身体障害や知的障害のある人に比べ、定着率が低いという課題があります。そのため、2018年より、「精神障害者である短時間労働者の算定方法に係る特例措置」(以下、「特例措置」)が施行されています。この措置は、1週間あたりの労働時間が20時間以上30時間未満(以下、「短時間」)の精神障害のある人について、従来、雇用率算定上は0・5人とされていたところを1人とカウントできるという措置です。ただし、①雇入れから3年以内の者、または②精神障害者保健福祉手帳の取得から3年以内の者という条件があり、雇用時に1人とカウントできた人も、3年経過後には0・5人となることから、その人の労働時間の延長も視野に収めた設計になっています。これは、精神障害のある人を短時間で雇用するハードルを下げることで、企業と当事者の負担を一時的に軽減し、その後の職場定着を目ざす試みといえます。本調査は、特例措置が適用された企業(以下、「特例適用企業」)、事業所(以下、「特例適用事業所」)、当事者(以下、「特例適用者」)の障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門【目的1】精神障害者を雇用する特例適用企業お【目的2】特例適用事業所の精神障害者の雇用お【目的3】特例適用者の実態(雇用状況、働き方【目的2】で回答対象となった事業所で働く特例実態を把握することで、暫定措置期間終了後(2023〈令和5〉年3月以降)の施策の企画立案に資する基礎的なデータを提供することを大きな目的とし、具体的に以下の三つの目的を設定しました。よび特例措置の適用状況を把握することよび特例措置についての認識・意見を把握すること      についての考え)を把握すること障害のある人の雇用状況を国に報告する「障害者雇用状況報告」について、特例措置実施前の2017年から直近の2020年までの4年間の変化を、企業(事業主)単位で分析しました。次に、【目的2】では、2018年と2020年の「障害者雇用状況報告」で把握した特例適用企業に対し質問紙を送付し、特例適用事業所ごとの回答を求めました。最後に、【目的3】では、適用者に、質問紙への回答を求めました。まず、【目的1】では、毎年6月1日現在のなお、【目的2】と【目的3】の調査では、質1 本調査の背景と目的2 方法〜雇用率算定方法の特例が適用される労働者を中心として〜精神障害者である短時間労働者の雇用に関する実態調査※1 現在は、2021年に0.1%引き上げられたことで、2.3%になっています働く広場 2022.1228

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