働く広場2022年12月号
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【目的1】企業における特例措置の適用状況の【目的2】特例適用事業所に、特例措置をあらか問紙に回答があった事業所・当事者のうち、数件ずつインタビュー調査も行いました。分析によれば、精神障害のある人を雇用する企業のうち、約20%の企業が特例適用者を雇用しており、この傾向は、特例措置が施行された2018年から2020年までほぼ変わっていませんでした。また、産業別にみると、精神障害のある人を雇用する企業は製造業がもっとも多く、次いで医療・福祉業、卸売業・小売業と続くのですが、特例適用企業にかぎると、医療・福祉業がもっとも多く、次いで卸売業・小売業、製造業が多くなっており、特例適用企業がやや特徴的であることを示唆しています。じめ知っていたかどうか、雇用管理において考慮したかどうかを聞いたところ、半数以上の特例適用事業所が特例措置を認識していましたが、雇用管理においてそれを活用しようと考慮した事業所は40%未満でした。また、特例措置によって得られるメリット、デメリットに関する印象項目が自分の事業所に当てはまるかどうか聞いたところ、7割の事業所が、特例措置が「雇用率達成のしやすさ」という印象項目に「当てはまる」と回答した一方、「定着の見通しの立てや【目的3】特例適用者に対し、現在の職場で働きすさ」や「無理のない労働時間」が「当てはまる」とした事業所は半数程度でした。特例措置は、一定程度知られているといえますが、それを精神障害のある人の職場定着に向けた取組みの一環として捉えうるということについては、必ずしも広く共有されるに至っていない可能性が考えられます。続ける意志について聞いたところ、6割の人が、現在の職場で働き続けることを希望していましab た。また、この6割の人のうち、フルタイム勤務への移行を希望する人は2割程度、現状では移行困難とする人が3割程度、短時間勤務を希望する人がやはり3割程度でした(図)。つまり、同じ会社で継続的に勤務しながら、労働時間を延長したいと考えるか、短時間のままがよいと考えるか、という当事者のニーズは分かれています。当事者の抱えるニーズについて9名に行ったインタビュー結果によれば、現在の職場で働き続けたいと答えた人は、主として、働きやすい職場であることと同時に、仕事自体に興味をもっている傾向がみられました。ただし、障害/疾患とともに生きるためには、変化しやすい体調と必要な収入、加えて仕事による負担とのバランスをとらなければならず、職場定着の意志とフルタイム勤務への移行意志等が必ずしも結びつくわけではないことがわかります。で書いてきたことのほかにも、特例適用者を雇用する事業所が整備している支援制度、実施している合理的配慮とその効果、利用した支援機関やその支援メニューなどのデータをまとめています。社内で雇用管理を行う方、障害者雇用で働いている精神障害のある方にもご覧いただけると幸いです。調査研究報告書No.161(※2)では、ここま3 結果の概要4 調査研究報告書No.161について「現在の職場で働き続けたい」と回答した人におけるフルタイム勤務への移行意志(b)図 特例適用者における現在の職場で働き続ける意志(a)と続けるのは難しい(25人) 7.1%現在の職場で働き続けたい(215人) 60.7%移行希望(70人)33.8%(49人)23.7%0%20%※2 「調査研究報告書No.161」 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku161.html◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)今のところわからない(96人)移行困難短時間希望(64人) 30.9%40%60%※bについて・「移行希望」=フルタイムに移行したい・「移行困難」=現状ではフルタイム移行は難しい・「短時間希望」=短時間勤務をこのまま続けたい・「不明」=いまのところわからない・「その他」の8ケースは除外してあるその他(13人) 3.7%無回答(5人) 1.4%27.1%不明(24人)11.6%80%100%働く広場 2022.1229

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