働く広場2022年12月号
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制度を活用しトライアル雇用を経たうえで、かなり高い割合の人が正社員となっている。また障がいの有無にかかわらず「同一制度同一処遇(能力や地域性は考慮)」とし、前出の木村進二さんのように管理職登用もある。情報サービス部情報サービス課の係長を務める山や田だ智と恵えさん(55歳)は、2011年に入社した。入社前年に腎臓移植を受け内部障がいのある山田さんは、当時の勤務先で唯一の事務員だったため迷惑をかけてはいけないと思い退職。ハローワークの求人で旭化成アビリティを見つけたそうだ。入社後はデータ入力などを担当していたが、グループ会社の旭化成リフォーム株式会社からの委託業務として建築CADを操作することになった。委託元の社員から教わりながらスキルを身につけ、いまでは過去の間取り図のトレースから現場作業用の図面作成、ビルの鉄骨補強の検討・提案までを手がける。80人近くいる部署の係長として「一人ひとりの個性や特性を仕事に活かしながら自立できるようサポートしています。仕事を通じて自信をつけてもらいたいですね。親のような気持ちです」と語ってくれた。業務部印刷デザイン課の萩は原わ千ち穂ほさん(49歳)は2015年に入社し、2021年から係長を務める。印刷デザイン課では旭化成ホームズからの委託業務で、図面データを目的別に整理してクラウドにアップロードするほか、製本も手がけている。障がいのある同僚や部下からの相談を受けることも多いそうで、心がけていることを聞いた。「とくに若い従業員は、ある程度、自分の仕事をこなせるようになると精神的に落ち着いてくる傾向があります。得意不得意がある場合は、まず得意な部分を徹底的に磨き上げることで自信がつき、不得意だったはずのことまで挑戦できるようになります。最初はじっくり見守ることも大事です」高校生の子どもがいる萩原さんは、同じように子育て中の同僚への配慮も欠か7ぎらしももまさない。「参観日は必ず行ってもらいますし、もちろん保育園から電話が来たらすぐに帰します。代わりに、だれが抜けても業務に支障が出ないよう、同じ仕事ができる人を2人以上にしています。私自身も極力残業をしません」オフィスサービス部事務サービス課で2021年から係長を務める吉よ田だ智と美みさん(49歳)は1996年に入社した。聴覚障がいがあり、補聴器を使って会話をしている。「当時は電話対応できることが採用の要件に入っている会社も多く、就職活動が困難でした。その後障がい者手帳を取得し、家族が教えてくれた旭化成アビリティに入社しました」とふり返る。吉田さんはグループ会社の給与関連の業務を担当しているが、「課内の一人ひとりの精神的なケアを優先に対応するよう心がけています」と話す。様子を見ながら声かけをするほか、「少し話を聞いてほしい」と相談を受けることも少なくない。「フレンドリーに、忙しくてもまず話を聞く姿勢で、公平な判断を心がけています」という。吉田さんでも解決がむずかしいと思ったときは、「活き活き推進部」に相談している。「障がいや特性の理解、職場での経験も含めてアドバイスがもらえ、とても頼りになる存在」だそうだ。事務サービス課係長の吉田智美さん吉田さん(中央)は課員の精神的なケアもになっている印刷デザイン課係長の萩原千穂さん山田さんは、建築用CADでトレースや製図を担当している情報サービス課係長の山田智恵さん

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