働く広場2023年1月号
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数カ月間におよぶ半日休業などを余儀なくされました。これを機に業務拡大の方針を決めて、建物清掃にふみ切りました」業務拡大については、当初はパソコン研修の成果を活かして名刺入力やアンケートのデータ入力の仕事も請け負っていたが、名刺の需要や紙でのアンケート調査が激減。「書類や倉庫の整理といった単発作業も注文があればやりますが、そこを重視するよりも、清掃業務の習熟度を高めることの方が有益だと切り替えました」と徳永さん。クレオテックと相談し、いまは研究所や文化施設など3棟を担当。トイレ清掃や廊下はき、会議室の床や階段の日常清掃などを毎日行っている。トイレを含む建物清掃は、一定のスキルが必要だ。衣笠事業所では、前述の京都府の障害者職業訓練制度により講師を派遣してもらい、「清掃実務実践科」の訓練を計24時間受講。その後の清掃業務に役立ててきた。また、現場で指導にあたる諸川さんによると、清掃方法については業務スタッフと一緒に改善もしたそうだ。「特別支援学校時代にビルメンテナンスの授業を受けた業務スタッフの意見を参考にして、より合理的な方法に変更した例もありました」今後は、機械を使ったワックスがけの技術も習得し、定期清掃業務もできるようになるのが理想だという。徳永さんは、アビリンピックへの参加も検討していると話す。「以前、大会を見学に行ったことがあるのですが、ビルクリーニング種目なら挑戦できそうです。いろいろな機会を活用しながら個々のスキルを上げて、将来どこに行っても活躍できるようになってもらいたいと思っています」 立ボ命ラ館ンぷテらィすでアは実、習大の学の場授に業として学生を受け入れる機会も増えてきた。例えば「現代社会とボランティア」の授業では、実習として地域の清掃や園芸などのボランティア活動を行っているが、その一つとして「立命館ぷらすの清掃業務にも、実習として学生を参加させてほしい」と担当教員から相談され、2021年から学生の受け入れが始まっている。徳永さんが説明する。「実習は、1期間が2週間にわたり、実習1回につき2人まで学生ボランティアを受け入れました。2022年は6月に実習を行い延べ40人ほどが参加しました。私からは授業で、障害者雇用やリサイクル問題などについての話をしました」ゼミやサークルの学生たちが職場見学に訪れることもある。業務スタッフがごみを細かく仕分け直している様子を見て、捨てる側の分別が徹底されていないことを実感し、「改善策を考えたい」と課題を持ち帰ったそうだ。大阪いばらきキャンパスでは、ペットボトルの完全リサイクルを目ざしている研究室との連携も検討されているという。「授業などで学生が業務スタッフと一緒にごみ回収の体験をするだけでも意義があります。大学という教育機関のなかに障害者雇用の場があるのは貴重だと思います」という徳永さん。立命館ぷらすの今後について、こう話した。「大学本体でも事務職などで障害者雇用を進めています。職場のダイバーシティを推進するうえで、私たちが、これまでの経験や実績をもとに現場でアドバイスできることもあると思います。大学キャンパスのなかで活動している特例子会社だからこそできることを考えていきたいですね」水分補給や読書など思い思いに休憩時間を過ごす11

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