働く広場2023年1月号
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鹿児島県の大お隅す半島を拠点に福祉事業を展開する「社会福祉法人白し鳩は会か」は、関係団体と連携し、開放型福祉農園「花の木農場」を運営し、お茶などの生産や加工、豚の繁殖や肥育、食肉加工を行っている。農作物を生産する一次産業だけではなく、食品加工の二次産業、さらにサービスや販売などの三次産業を一体化して生産物の価値を高める「六次産業化」を通じて、障害者のほか、働きづらさや生きづらさを抱える人の居場所づくりと役割の多様化を目ざしている。同法人が運営する多機能型事業所の「第2花の木ファーム」では、豚肉のハムやソーセージへの加工や、精肉などの食肉加工を担当しており、知的障害などのある利用者が、それぞれの特性を活かして働いている。ここでつくられた製品は、農場内のカフェや近隣の道の駅、個人商店などで販売され、通信販売も行っている。精肉班で働く河こ野の志し乃のさん(32歳)は、スライサーでカットした豚肉のパック詰め、すじ切りやミンチ作業などを担当している。今後のステップアップを目ざし、ラップ包装作業、商品を計量しラベルを貼るなどの新しい業務にもチャレンジ中だ。また、週に一度、利用者の給食をつくる調理場で、調理補助や盛りつけなども担当しており、「失敗して落ち込むこともありますが、作業がうまくいくとやりがいを感じます」と語る。河野さんは、自身が生活する入所施設でも積極的に職員をサポートしているそうだ。「体を動かして働くことが好きなので、掃除や給食の配膳などを手伝っています。職員が喜んでくれることがとてもうれしいです」と笑顔で話してくれた。うといらみお花の木農場の養豚場では、障害のある利用者が職員とともに白豚を育てている(写真提供:第2花の木ファーム)施設の清掃も利用者が行う大事な作業の一つだ花の木農場の全景。広大な敷地でお茶や野菜などを生産している第2花の木ファーム。就労継続支援B型事業では28人が働いている試験的に栽培した「えごま」の脱穀作業。手作業でていねいに行う(写真提供:第2花の木ファーム)16

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