働く広場2023年1月号
24/36

所、就労移行支援事業所、放課後等デイサービス事業所があるそうだ。また、要保護者および要援護者に対して、就労または技能の習得のために必要な機会や場所を提供する「須坂市福祉企業センター」も併設している。社会福祉法人夢工房福祉会の常務理事・統括所長の小■林■珠■美■さんに施設内を案内してもらいながら、事業運営についてうかがった。大型店舗だった建物のよさは、作業活動に必要なスペース、製品や材料の倉庫を確保できることにある。また活動スペースを広く取ることができ、障害のある人の特性に合わせた環境を用意している。感覚過敏のある障害児・障害者に対して、周囲の騒音や会話に■■よる刺激、人や機械などの動きによる視覚的な刺激を避け、個別の空間を用意するなどの配慮ができている。ソーシャルディスタンスが必要な新型コロナウイルスの感染防止にも役立った。また、例えば段ボール工場の機械などを譲り受けてその製造を始めるなど、地域の企業や学校との連携により、さまざまな活動を行い、受注できている点もその特徴である。そのような運営方針から、オートをはじめとする「施設外就労」の取組みが生まれてきている。製造業として、鋼材を使用し、板金技術である切断、曲げ、溶接を用いて、機械部品・カバー・フレーム・箱・ダクトなどを製造している。代表取締役の宮■川■岳■洋■さんにお話をうかがった。従業員は27人(インドネシアからの技能実習生4人を含む)で、長野養護学校の卒業生を1人採用している。その人が、2022年4月に入社した山■本■春■太■さんだ。工場内には、タレットパンチプレスという型抜きの鉄板加工の大型機械が設置されており、さまざまな精密機械が並んでいる。山本さんは、製造された部品の面取り作業に工作機械で取り組んでいた。材質や深さ■■伸■商■機■工■株式会社は、須坂市を流れる百■々■川■沿いの工業団地にある。精密板金■■■■ ■■■■■■■■  を確認しながら、一つずつ正確に作業をしている。 宮川さんによると、学校での実習のときから少しずつ作業を覚え、就職後は山本さんが担当できる仕事も増えてきたそうである。しかし、いろいろな仕事を任せてうまくできたとしても、本人にとっては過度のストレスを感じてしまうこともある。そのことを経験している宮川さんは、現状維持からスモールステップで気長に能力を伸ばすことを試みてきた。それが定着支援につながり、今日の山本さんの自信につながっている。山本さんのできる仕事が増えるにつれ、ほかの社員はパソコンによる作業手配書の入力作業など、別の業務を担当できるようにもなった。同地域でも、この10年あまりで働き方が大きく変わってきたそうである。人材不足に加え、働き方改革があり、社員にとっても会社にとっても効率的で生産性の高い働き方が重要になっている。宮川さんと長野養護学校の小林先生が出会ったのは、オート同様、地域の中小企業家同友会の「障害者問題委員会」だった。企業および事業主の方々と長野圏域の特別支援学校と障害者就業・生活支援センターが、地域の障害者雇用について考える研究会として立ち上げた。そのことがきっかけとなり、特別支援学校の実習生を受け入れることになった。受け入れにあたっては、従業員の障害のある人へスモールステップで担当する工程を増やすオートでは、ハルルの利用者が施設外就労を行う社会福祉法人夢工房福祉会ハルルでは地域の企業から段ボールの製造を受注している箱に付着した切削油や防錆油を拭き取り、洗浄するオート従業員社会福祉法人夢工房福祉会常務理事・統括所長の小林珠美さんミクロン単位の検査を行う写真入りでわかりやすくつくられた手順書精巧な測定器でオートで油圧バルブ用部品の検査を行う長野養護学校卒業生働く広場 2023.122

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る