働く広場2023年1月号
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■屋の目ざす姿を表している。取材時、本校では午前中の授業が始まっていた。小学部では、「遊びの指導」が行われていた。配慮された環境や遊具があるなか、元気に自ら楽しんでいる子どもたちの姿は清々しく感じた。中学部では、朝の集会があり、身体全体を使う運動が行われていた。高等部も同様に、身体全体を使う運動として、朝のマラソンに取り組んでいた。コースは学校周辺のりんご畑を回る校外のコースになっており、景色は美しいがアップダウンのある約1㎞のコースであった。働く力の基礎となる体力とやり抜く心を育んでいる。高等部の見学では、「作業学習」を見学した。各作業班は10月の文化祭(長■養■祭)に向けて製品づくりをしているところであった。木工班、陶芸班、クッキー班、手芸班、紙すき班、農耕園芸班の作業を見学した。クッキーづくりでは保■■創■成■高等学校(商業科・創造工学科・農健所の営業許可を取り、外部に販売している。紙すき班の名刺づくりは先生方からの注文が多い。学校周辺の農地を借りて作業をしている農耕園芸班の収穫作物は、コロナ禍前はJA(農業協同組合)の店舗でも販売していたそうだ。こうした、お客さまを意識し品質を大切にしながら、先生方の指導のもと真剣に取り組む生徒たちの姿に、日ごろの学びの成果が感じられた。長野駅から長野電鉄長野線に乗り、「須坂駅」で下車して程近くに「すざか分教室」の校舎はある。旧長野県須坂商業高等学校の空き教室を利用して開設した長野養護学校の分教室で、3学年32人が在籍している。すぐそばに長野県須■坂■業科)があり、交流学習も行っている。分教室進路指導主事の頓■所■洋■先生にお話をうかがった。高等部の教育目標は、「卒業後の社会人■   ■■■■」  ■■  としての長い人生を『豊かに生きる力』や『社会生活や職業生活を営むための基礎となる力』を育て、地域社会で主体的に生きる生徒を育成」するとある。このことを目の当たりにした授業風景だった。訪問した時間は作業学習が始まっていて、「手工芸」、「食品加工」、「農耕園■■■■芸」の各作業を学ぶ生徒が配置についていた。リーダーは3年生が受け持ち、てきぱきと指示をしている。農耕園芸課の作業では、畑から収穫した野菜を整え、校門そばの無人販売所へ並べていく作業は担当の生徒が行い、見栄えよく並べる作業は上級生の役割であった。店の正面から販売所の状態を見て、野菜が見えにくければ並べ直し、納得した表情でまたほかの野菜を並べる。まさに「お客さま目線の動き」は堂に入っている。珍しい葉物を見つけたのでたずねると「金■時■草■」とのこと。美味しい食べ方を聞くと、おひたしか炒め物だという。そこへ早くも近所の方が訪れた。もう何回も買ってくださっているとのことで、お友だちも連れ立っての来店だった。無人販売所とはいえ、お客さまの顔を見たら作業服のままでもていねいに明るく接客する。教員は様子を見守り、ともに働いているという雰囲気である。校内にある農場は、もとはテニスコートだったそうだ。生徒と教師が一緒に開墾し、農地にした。近年この地域でも、高齢者の一人暮らしが増えているため、歩いてこられる無人販売所は好評とのこと。収穫した作物は、このほかに市内の飲食店に食材として販売している。手工芸課では、須坂市の伝統産業である絹織物を扱う呉服店を窓口に、地域の方から不要になった着物をいただき、シ長野県長野養護学校高等部「すざか分教室」■■新鮮な野菜が並ぶ無人販売所の「鮮■■菜手工芸課が製作したシルク・コサージュクッキーやパウンドケーキを製造する食品加工課 分教室進路指導主事の頓所洋先生校内の農園で収穫された「金時草」農耕園芸課は、植えつけのため畑を耕していたリーダーの3年生が指示を出し作業が進められる長野県長野養護学校高等部すざか分教室働く広場 2023.124

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