働く広場2023年1月号
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■太■間ルク・コサージュをつくっていた。製品の品質は高く、地域の観光交流センターをはじめ市内店舗などで販売している。食品加工課ではクッキーやパウンドケーキの製造をしており、先輩が後輩に教えながら、二人一組で一人ひとりがすべての工程をこなしている。これらの製品は、市内の店舗や長野県須坂創成高等学校と連携した総合技術高校販売実習の「創成フェア」で販売している。これらの作業に加え、ビルメンテナンス(清掃)は、必修として全員が学ぶ。交番や幼稚園、自治会の集会所など地域の公共施設などの清掃を実施し、実践的に学んでいる。しなの鉄道北しなの線「北長野駅」から南東に「朝陽教室」はある。長野県長野盲学校の校舎内に併設されている。選抜制であり就労に向けたキャリア教育を進めている。生徒数は各学年定員8人で毎年8割以上が企業への就労を果たしているそうだ。当日は文化祭準備で慌ただしいなかを訪問させていただいた。長野県長野盲学校高等部の生徒との合同プログラムの練習を見学でき、両校の絆を垣間見ることができた。普段の成果を多方面から発表する文化祭の前で、学習の様子は見学できなかったものの、作業室にはすでに生徒の作品や製品が展示されており、全国アビリンピックで入賞経験のある生徒のフラワーアレンジメント作品は見事だった。普段は教科学習とともに作業学習を学んでいるが、高齢者施設への出張清掃や事務作業補助、野菜や花の栽培と地域での販売も行っているとのことであった。少人数の編成だが、むしろ先輩生徒から後輩への伝達がスムーズであり相互にコミュニケーション能力を発揮しやすい条件を整えているともいえる。校内実習では企業から仕事を下請けさせてもらうが、外部とのかかわりにおいても地域のなかで生活する力や人間関係を築く力の育成として生徒同士の細やかな関係が役立っていると思われる。人を思いやりお互いに同世代の仲間と      ■■■ 学びあう青年像を目ざしている姿は、卒業後の生活の向上に反映されることであろう。藤■澤■里■美■校長と、あらためて進路指導主取材の最後に、長野県長野養護学校の事の小林先生にお話をうかがった。本校および分教室の教育は、地域の産業や住民とのつながりを大切にしながら、時間をかけてつくりあげてきている。お2人はかつて長野養護学校で同僚として働いており、特別支援教育の長い歴史やその変遷も共有されていることを知った。小林先生は18年間も長野養護学校で勤務されている。本校での高等部の授業見学を案内していただくなかで、小学部および中学部の児童生徒に廊下で出会うと、それぞれの子どもに寄り添ったコミュニケーションを取る。一人ひとりの成長を把握し、子どもたちも先生方の気持ちに応える。学部を越え、学校全体の進路指導主事であることがこのやり取りからわかる。管理職と教育現場のリーダーに専門性があると、学校経営は発展する。しかし同時に、作業棟の施設設備、教職員の会議室の確保も含め、教育環境の課題は多いと思われる。今後の教育の質を高めるためにも、人材の確保と施設設備の改善について、学校からの発信と自治体および地域からの理解と協力をさらに期待したい。長野県長野養護学校高等部「朝陽教室」おわりに■■に出場、銅賞を獲得した草■■■陵長野養護学校の藤澤里美校長長野県長野養護学校高等部朝陽教室2022年11月に行われた第42回全国アビリンピックの「フラワーアレンジメント」種目さん専用の機材を使いこなし高所の窓ふきを行う(写真提供:長野県長野養護学校高等部すざか分教室)校内では文化祭の準備作業が進められていた公共施設での清掃活動。働く広場 2023.125

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