働く広場2023年1月号
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半導体検査装置などの先端技術分野で事業を展開する株式会社日立ハイテクの特例子会社として、人事、総務、財務、情報システム、製造などの業務支援サービスをグループ各社に提供している株式会社日立ハイテクサポート(以下、「日立ハイテクサポート」)。1987(昭和62)年4月に設立され、同年9月に特例子会社に認定されました。現在、従業員の約3割が障がいのある社員で、障がいの有無に関係なく社員が互いに連携して、日々の業務にあたっています。同社では、自社内で障がい者が活躍する環境を整えるのと同時に、30年以上にわたる障がい者雇用への取組みで得られた知見を活かして、日立ハイテクグループの8企業を対象に、障がい者雇用に関する助言やコンサルティングを行うなど、グループの障がい者雇用に向けた中核的な役割をになっています。「特例子会社というと、一般的には、障がいのある人を一カ所に集めて管理運営をしている企業が多いというイメージがあると思いますが、当社では、障がいのある社員とともに働く職場環境をつくることで、ほかの社員にも障がいのある人のことや障がい者雇用のことを知ってもらいたいと考えています。このような『ともに働く』という職場環境にグループとして取り組むダイバーシティ経営の定着に向けて、2017(平成29)年に日立ハイテクサポートの一部署として設立されたのが『障がい者雇用支援センタ』です。特例子会社で障がい者を雇用するだけではなく、グループ各社で法定雇用率よりも0・5%上の雇用率を達成することを目標に、親会社の株式会社日立ハイテクと共同でグループ企業の障がい者雇用をサポートしています」(障がい者雇用支援センタ採用・定着支援コーディネーター/工■藤■庄■■さん)『障がい者雇用支援センタ』には、「企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)」や「障害者職業生活相談員」の資格を持つ社員を含む11人の社員が在籍しており、グループ各社の障がいのある社員の「採用」、「教育」、「定着支援」の三つの段階をサポートしています。「『採用』に関しては、職務とのマッチングを最重要視しています。グループ各社の業務のどの部分で活躍してもらえるかを具体的に検討したうえで、特別支援学校などを訪問し、先に検討した職務に合う生徒を積極的に探して採用しています」(障がい者雇用支援センタ■■ ■ ■■ 主任/柴■野■陽■子■さん)経費などの精算業務を例にすると、通常は、①「申請者から提出された書類のチェック」→②「システム上のデータとの照合」→③「書類やデータに不備があった場合の申請者への連絡」→④「計上伝票を立てる」といった一連の流れを、1人の社員が一貫して担当することが多いのですが、同社では、①は数字の照合に強い知的障がいのあるAさん、②は集中力が高い発達障がいのあるBさん、③は同僚のCさん、④は管理職のDさんと、それぞれの特性や得意分野を活かして業務を分担しています。「分業体制を整えた結果、以前より業務の効率が上がりました。グループ各社でもこのような考え方を適用し、障グループ企業の障がい者雇用を支える『障がい者雇用支援センタ』職務とのマッチングを最重要視した採用活動と分業化★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社日立ハイテクサポート様のご意向により「障がい」としています★中央障害者雇用情報センター  https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer05.html  障害のある社員が働きやすく定着しやすい職場となるためには、社内の支援体制づくりがポイントとなります。当連載の第3回は、助言やコンサルティングを行い、特例子会社としての経験から得られたノウハウをグループ企業内で共有している「株式会社日立ハイテクサポート」の事例を紹介します。監修:中央障害者雇用情報センター(★)働く広場 2023.1【取材先プロフィール】◆事業内容 ◆従業員数(2022年4月1日現在)◆実績人事、総務、財務、情報システム、製造などの各種業務のグループ企業へのサービス提供211人(うち障がいのある社員68人:知的障がい46人、身体障がい11人、精神障がい11人)1996年「障がい者雇用優良企業」都知事賞1998年「障がい者雇用優良企業」労働大臣賞2018年「平成29年度 東京都教育委員会事業貢献企業」表彰26株式会社日立ハイテクサポート(東京都港区)第3回第3回〜グループ企業の障害者雇用をサポート〜〜グループ企業の障害者雇用をサポート〜クローズクローズアップアップ職場内の支援体制の課題と対応職場内の支援体制の課題と対応

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