働く広場2023年1月号
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●高次脳機能障害者の職場復帰支援の流れ(図1)●高次脳機能障害の職場復帰における支援ツール(図2)●アセスメントのための支援ツール高次脳機能障害者の復職におけるアセスメントの紹介当機構の障害者職業総合センター職業センターでは、休職中の高次脳機能障害者を対象とした職場復帰支援プログラムと、就職を目ざす高次脳機能障害者を対象とした就職支援プログラムの実施を通じ、障害特性や事業主ニーズに対応した先駆的な職業リハビリテーション技法の開発に取り組んでいます。高次脳機能障害者の職場復帰支援の課題点として、①症状や状態像の多様さや個別性、複雑さ、見えにくさ、②支援課題が疾病管理や健康管理など多方面にわたること、③休職期限までの限られた期間のなかで準備を整えなければならないことがあります。職業センターでは、高次脳機能障害の障害特性や多面的な支援課題に関わる情報を収集して整理し、関係者間の情報共有や対象者の自己理解の促進、支援課題の明確化、支援方針の検討、また、事業主との連絡調整や支援で使用する支援ツールや支援方法等の技法の開発に取り組みました。  その成果を2022(令和4)年3月末に、実践報告書№40「高次脳機能障害者の復職におけるアセスメント」に取りまとめました。以下にその概要を紹介します。地域障害者職業センターを利用する対象者の多くは、受障後に治療や医学的なリハビリテーションを受け、在宅生活の安定が図られると、障害者職業総合センター職業センター職業リハビリテーションの段階に入り、復職に向けた準備を整えます。一方事業主は、対象者と情報交換しながら、受入体制を整えます。支援者は、双方に支援します。対象者に対しては、①障害特性の整理と自己理解の促進、②職業準備性の向上、③対象者に合った対処策(補完手段)の習得、④作業遂行力の向上、⑤障害特性や事業主に依頼する配慮事項のとりまとめ等にかかる助言を実施します。事業主に対しては、①高次脳機能障害者の障害特性および対象者個人の特性と必要な配慮事項の解説、②対応しやすい職務内容や合理的配慮の考え方、復職事例の情報提供、③必要に応じて職員研修やジョブコーチ支援を実施します。です。以下で簡単にご説明していきます。本報告書でご紹介している支援ツールの一覧「特性チェックシート」(図6)高次脳機能障害の障害特       討するためのツールです。性を整理し、支援方法を検対象者に高次脳機能障害の特性が、自分にあてはまるかどうかを回答してもらい、自らの障害をどのように認識しているかを確認します。「あてはまらない」とチェックした項目について働く広場 2023.1(図1)高次脳機能障害者の職場復帰支援の流れ(図2)高次脳機能障害の職場復帰における支援ツール28

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