働く広場2023年1月号
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も、チェックした理由を聞くことで、アセスメントが深まることがあります。例えば「前職ではできていたから」との返答であれば、現在の状況についての認識が不十分であることがわかります。職業センターのプログラムでは、支援方針を検討する際、収集した多様な情報を統合しながら支援課題を明確化して介入方法を組み立てる、ケースフォーミュレーションの考え方を参考にしています。①「情報整理シート」(図3)アセスメントで得られた情報を項目ごとに取りまとめ、項目ごとの支援課題を明確にするツールです。②「ケースフォーミュレーションシート」(図4)情報整理シートで明確にした支援課題に影響を及ぼす要因に関する仮説を立てて、支援方針を組み立てるツールです。担当者は「情報整理シート」と「ケースフォーミュレーションシート」を作成して、支援方針を検討するためのケース会議を実施します。両シートは、対象者を取り巻くさまざまな情報が図式化され、情報をまとめて整理してあるため、解決すべき支援課題や取り組むべき支援方針について具体的に意見を出し合い、検討することができます。「対処策リスト255」(図5)主症状ごとに考えられる対処策(補完手段)を取りまとめています。支援者や対象者が障害特性に応じて取り組む対処策(補完手段)や職場に配慮を求めることを検討するときの参考となるように作成しました。①「リファレンスシート」(図7)特性チェックシートなどの内容や職業前訓練の観察結果などをもとに、障害特性と対処手段(補完手段)、事業所に理解や配慮を求めることを取りまとめるツールです。リファレンスシートの項目は、「特性チェックシートで確認された特性」、「どの程度あてはまるか」、「会社に伝えるかどうか」、「対処手段」、「周囲に求める配慮、理解してほしいこと」です。特性チェックシートから特性を選択し、一つずつ検討することで、事業所に伝える情報の整理を構造的に行うことができます。②「事業主のための職場復帰に関する参考資料集」する知識やノウハウをわかりやすく伝えるために作成しました。高次脳機能障害の特性や職業的課題、職場復帰支援のポイントなど、一連の流れを載せています。用することで、高次脳機能障害者の職場復帰や職場適応が促進されることを願います。おけるアセスメント」は、障害者職業総合センター研究部門のホームページに掲載しています。また、冊子の配付を希望される場合は、下記にご連絡ください。事業所と調整を行う際に、職場復帰支援に関本報告書に記載してある一連の支援ツールを活実践報告書№40「高次脳機能障害者の復職に●支援方針の検討のための支援ツール●補完手段の検討のための支援ツール●事業所との調整のための支援ツール●まとめ★障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/practice40.html働く広場 2023.1(図3)情報整理シート(図4)ケースフォーミュレーションシート(図5)対処策リスト255の一部         ⬇(図6)特性チェックシート(図7)リファレンスシート29

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