働く広場2023年2月号
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しら康こ平へさん(愛知県)は、生まれつき手のればと思いました」と話してくれた。 「義肢」の競技課題は、繊維強化プラスチック製の「下腿義足ソケット」の製作(4時間15分)。専門学校に通う大お北き指に障害がある。いったん就職し、CADで自動車部品の設計などを手がけていたが、「幼少時からお世話になっていた病院職員の姿を見て、自分も直接人の役に立ちたいと装具士を目ざしました」と語っていた。卒業前の集大成として臨んだ今回は、出場者中最上位の銀賞を受賞した。 「木工」の課題は、「蓋ふ付き木箱」の製作(5時間)。競技後も審査委員から熱心にかんなの使い方を教えてもらっていたのは、家具製作所に勤める福ふ島し大だ樹きさん(岩手県)。木工作業が好きで就職し、家具のパーツづくりを担当している。父親は「理解ある職場のみなさんから助言をいただいてきたようです」と話す。競技後に「少し時間はかかりましたが、ていねいに仕上げることができました」とふり返った福島さんは、努力賞を受賞した。 「家具」の課題は「花台」の製作(5時間30分)。今回の出場者は、聾ろ学校に通う石い坂ざ菜な々な子こさん(愛知県)1人。同行していた学校の指導教員は、「別の聾学校は学科が閉鎖になったと聞きました。ある程度の技量が必要なので、当校も今年は1人しか出せませんでした」と明かす。競技後「2カ月間ほど練習してきま清し水み大ひ希きさん(鳥取県)が通う職業訓練ろずかしうりおかろつといくまいたいちう いうおた8した。最初から緊張しすぎて焦りましたが、午後からはスムーズに進められました」と話してくれた石坂さんは、銅賞を獲得した。 「縫製」の課題は、エプロンの製作(4時間)で、配布された9枚のパーツをミシンやアイロンなどを使って完成させる。6回目の全国大会だという江え頭が礼れ奈なさん(佐賀県)は、特別支援学校で事務職員をしながら洋服づくりを続けているそうだ。競技後「今日はポケットのカーブ部分がうまくいきませんでしたが、またがんばりたいです」と笑顔で話していた。 「洋裁」の課題は、薄手ウールを使ったオーダー仕立てのオーバーブラウス製作(6時間)。作業は、裁断から芯貼り、印付け、本縫いミシン、アイロン、ロックミシンの順で進める。松ま本も弥や生よさん(熊本県)は、2011(平成23)年の国際アビリンピック出場者。競技後、「大会前に体調を崩してなかなか練習できなかったのが残念です。競技では衿えつけがうまくいかなかった」と話し、結果は努力賞。「またリベンジしたいです」と気持ちを新たにしていた。 「フラワーアレンジメント」は花束(60分)、花嫁のブーケ(60分)、会場装飾(ワンサイドアレンジメント)(45分)の3課題。校の指導員によると「訓練生は毎年、好きなアビリンピック種目に挑戦します。短期間で目標に向け努力することが、ほかの訓練にも活かされています」という。競技後、「この種目に挑戦して、長時間でも集中力を維持できるようになりました。今日初めて時間内に仕上げることができました」と教えてくれた清水さんは、銅賞入賞を果たした。 「ネイル施術」は、ネイルケアとカラーリング(75分)、ネイルチップアート(70分)の2課題。一い木き侑ゆ子こさん(東京都)は、事務の仕事をしながら3回目の全国アビリンピック出場。夫によると「気持ちが沈んでいたころに手話のできるネイリストに出会い、変わりました」という。一木さんは銅賞を獲得し、「課題が変わりむずかしいと思いましたが、努力を信じてがんばってきました。さらに上を目ざしたいです」と語ってくれた。 「写真撮影」の今回の課題は、幕張メッセで開催されるアビリンピックをパンフレットやホームページ上で紹介することを想定し、外観やワークフェア出展ブースなどを撮影するという内容だ(4時間)。養護学校の先生からのすすめで参加し、前回は銀賞だった大お塚つ弘ひ也やさん(鹿児島県)。母親は「よく絵の構図がうまいといわれましたが、絵の具の管理が苦手でした。そこで、気軽に撮れるデジタル写真ならと挑戦しました」と話す。地元スーパーで食品加工の仕事をしながら●縫製/洋裁/フラワーアレンジメント/ネイル施術/写真撮影江頭礼奈さん(佐賀県)「縫製」「家具」銅賞、石坂菜々子さん(愛知県)福島大樹さん(岩手県)「木工」努力賞、「義肢」銀賞、大北康平さん(愛知県)

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