働く広場2023年2月号
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食品スーパーマーケットを中心とする小売業を営む株式会社ヤマザワ︵以下、「ヤマザワ」︶。山形県内や宮城県内で合計60店舗を展開し、2022︵令和4︶年12月現在、117人の障害のある従業員︵知的障害66人、精神障害19人、身体障害32人︶が活躍しています。「地域のみなさまに親しまれるスーパーマーケットは、障害のある方の就労先として注目される機会も多く、以前から積極的に障害者雇用を行ってきました。障害者専用求人を出していなくても、地域の特別支援学校や就労支援機関から採用や職場実習に関する問合せを受けることがあり、その場合の窓口は人事教育部が担当しています。職場実習を受け入れる店舗は、職場実習希望者の通勤可能なエリアの店舗のなかから、人的な体制や従事可能な作業などの環境面をふまえ、人事教育部が支援機関と相談のうえ決定しています。採用は、基本的に店舗ごとに行っており、地域の特別支援学校からの実習生を受け入れた後に採用に至ったり、求人の募集に、障害者手帳を持つ人からの応募があり採用したりするなど、正社員、パートタイムやアルバイトなどさまざまな立場で、障害のある従業員が活躍しています」と、人事教育部教育企画の加か藤と理おむさんは話します。障害のある従業員が担当しているのは、おもに野菜や惣菜などを袋詰めして小分けする作業、陳列作業、チェッカー業務︵レジ︶などです。「魚売り場などでは食品の加工が発生するなど、部門によって業務の内容に若干の違いがあるので、本人の希望や特性を見きわめたうえで配属先を決めています。採用後は、店舗の責任者や指導担当者が異動しても本人への対応が適切に引き継がれるよう、特性や支援のポイントなどを記載したものを用意しています。店舗の管理職クラスの従業員は、店長会議にあわせて人事教育部が開催する障害者雇用に関する講習会を受講しています。また、複数の部門のチーフ、接客担当者に対しても同様の講習会を実施しています。講習会の内容は、各店舗から相談を受けることがある精神障害や発達障害の特 さう 性と、職場での対応方法について理解を深めるもので、山形障害者職業センターに講師を依頼しました。一緒に働く従業員の多くは、障害者雇用に特別詳しいわけではありません。しかし、障害のある従業員と一般の従業員がともに働くことがあたり前の環境があるので、障害のある従業員にどのように接したらよいか、どのような配慮が必要かなどを、前の担当者から自然に見聞きして、引き継がれています」と加藤さん。障害のある人が職場にいることがあたり前の環境監修:中央障害者雇用情報センター(★)<参考>「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」ウェブコンテンツ版 「Q 職場で改善すべき問題が起きたときはどのように対処すればよいですか?」https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003lx83.html★中央障害者雇用情報センター   https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer05.html  障害のある従業員が働きやすく定着しやすい職場となるためには、社内の支援体制づくりがポイントとなります。当連載の最終回は、従業員の相談窓口を設置し、地域の支援機関と連携しながら障害のある従業員の定着のサポートを行う「株式会社ヤマザワ」の取組みを紹介します。◆事業内容 食品スーパーマーケットを核とする小売業◆店舗数(2022年12月現在) 60店舗(山形県内41店舗/宮城県内19店舗)◆従業員数(2022年12月現在)3896人(うち障害のある従業員117人:知的障害66人、精神障害19人、身体障害32人)◆実績2021年 「障害者雇用優良事業所表彰(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞)」【取材先プロフィール】株式会社ヤマザワ(山形県山形市)最終回最終回〜本社が店舗の障害者雇用をサポート〜〜本社が店舗の障害者雇用をサポート〜16クローズクローズアップアップ職場内の支援体制の課題と対応職場内の支援体制の課題と対応

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