企業と支援機関が事例を題材にともに学ぶ場ハミューレ株式会社の取組み話し合える関係をつくること 特定非営利活動法人クロスジョブ(以下、「クロスジョブ」)では、2019(平成31)年度から「企業連携会議」を定期的に開催している。会議にはクロスジョブの支援者をはじめ、体験実習や雇用先として連携している企業に参加していただいており、中小企業が多いことが特徴だ。企業だけの会議、支援者だけの会議は多く存在するだろうが、私たちの会議で大切にしていることは、障害のある人が「職場で活躍して働き続ける」を共通目標に、日々起こるさまざまな事例を題材に企業と支援機関が互いの立場から情報発信を行うことや、それらを通じてともに学ぶ場にすることである。企業には専門知識など、独学では習得する機会が限られるような情報を提供し、支援者には企業文化や雇用後に求められるサポートについて学んでもらっている。クロスジョブ梅田(大阪府)をメイン会場に、オンラインにも対応しているため全国からの参加が可能だ。2022(令和4)年11月に開催された企業連携会議では、北海道に本社を置くハミュー「私たちは常に相手の為に相手の立場で考動しレ株式会社(以下、「ハミューレ」)の店舗運営部長の齊さい藤とう浩こう二じさんより、クロスジョブ札幌との連携事例や障害者雇用についての発表があった。ハミューレは仕事用品や衣料品の店舗を展開しており、北海道障害者職業センターのワークショップに参加したことをきっかけに障害者雇用を開始。いままでに15人を採用している。クロスジョブとの出会いはクロスジョブの支援者からのアプローチだった。ハミューレの障害者雇用の特徴は、障害のある人のためだけに社員教育や職場環境の整備を行うのではなく、企業内教育の大きな枠組みのなかで障害者雇用をとらえていることだ。チームビルディングに関する社内研修を多く設けており、相手のことを知る、相手の強みを活かすことを大切にしている。職場で働く人たちの活躍をみんなで考える風土が築かれており、一人ひとりの存在を大事にする環境のなかに障害のある人が含まれているのだと感じた。障害者雇用を行う各店舗の店長同士が障害者雇用について自主的に勉強会を開くなど、ハミューレの「考動原理」にあるます」を軸にしたマネジメント力が、組織の大きな後押しとなっている。障害のある人を特別視し、その人自身を変えるのではなく、障害があってもどうすれば職場で戦力になるのかを考える姿勢は、社会モデルの手本でもある。てすぐに正解を出さなくてもいい。企業と同じ目線で悩んだり、話し合いができる存在でいてほしい」と伝えられた。支援者にとっても、障害のある人にとっても心強いメッセージだった。人が発達し、成長していくためには長い時間と良質な経験が必要になる。特に発達障害のある人が職場で活躍するためには企業の協力が不可欠であり、支援機関は建設的な対話を通じて両者の歩みをサポートしなければならない。企業に人を送り込むだけでは専門職の役割を果たしたとはいえない。あたり、企業同士で育て合うことも手法である」という助言もあった。企業と支援機関の関係では立ち行かなくなることも、企業連携会議の場を使うことで新しいひらめきに出会えるかもしれないし、そのような場所にしていきたいと思う。だれもが働きやすい社会をつくっていくため、企業とともに学びを続けていきたい。齊藤氏からは支援者に対して「課題に対しさらに「企業の問題には別の企業が相談に砂川双葉(すながわ ふたば)特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺・副所長。社会福祉士、介護福祉士。2013(平成25)年、特定非営利活動法人クロスジョブに入社。就労支援員としておもに発達障害のある人の支援、障害者雇用を行う企業の支援を行う。2021(令和3)年、当機構の第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会で、就労移行支援事業所におけるASD者のアセスメントと支援についての実践報告を発表している。働く広場 2023.2第4回21発達障害と就労〜企業担当者と支援者の連携〜特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉
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