働く広場2023年3月号
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全員が集まりフォロー研修しでも異変を感じたら、支援担当同士で相談しながら対応にあたっています。店舗側から相談があった場合は重点的にフォローに入ります」という。一人ひとりの情報をファイリングしたものを共有し、3人で連携しながら支援しているそうだ。新入社員を紹介する社内報などでは、障害のある人が配属される店舗を告知しているものの、現場であらためて紹介はしていない。「本人が職場で困ったときに相談する人は決めてあるので、全員に周知しなくてもやってこられたのではないかと思います」と成瀬さんが説明する。 「これはどこの会社でも同じかもしれませんが、最初に受け入れを依頼する店舗は、だれかしら面倒見のよい、理解のある店長や主任がいて、上手に指導してくれるところを選んでいます」その担当者が数年後に人事異動で変わると、本人も新しい担当者も戸惑ってしまうことがある。そのときに重点的にフォローに回るのが成瀬さんたちの大事な役割だ。人事異動を毎回チェックし、少し心配だと思われる店舗は優先的に訪問しているそうだ。成瀬さんは2021年に職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格も取得した。講座に参加し、あらためて勉強になったことについて話してくれた。 「例えば品出しという一つの作業は、日付を見て、もともと並んでいた商品を棚から出して、といった具合に、いくつにも分解できます。私たちが一つの作業として認識していても、彼らにとっては、いくつもの作業が組み合わさっている状態なのですね。もし『品出しができない』といわれたら、どこの段階でつまずいているのかを細かく考えられるようになりました。それが雇用継続の判断にもつながるので、大事な視点だと思っています」受け入れる店舗の現場へ少しでも理解を広げるため、成瀬さんたちは年1回、店長・副店長が集まる会議で時間を割いてもらい、障害特性や障害者雇用率、就労定着などについての勉強会も開いている。障害のある従業員は年1回、本社のサ      9を果たす」といったテーマの講義のほか、ポートセンターの大会議室に一堂に集まりフォロー研修も受けている。「一人ひとりがプロになる」、「期待されている役割売場の基礎知識として商品の正しい前出し作業や接客の練習など、原点に立ち返るプログラムを揃えている。ワイシャツのボタンをつける実習や、ちょっとしたモノづくりを楽しむグループワークもある。成瀬さんが興味深い話もしてくれた。 「じつは、昨年はコロナ禍で研修を中止にしたのですが、その後、店舗から接客のクレームが増えたという報告があがってきました。やはり定期的に集まって『自分たちはヤオコーの従業員だ』ということを再認識することが、日々の仕事や接客の向上につながるのだと実感しました。本社に出向いての研修は気分転換にもなるようで、店舗を巡回していると『今年はやりますか。楽しみにしています』といわれますね」スーパーマーケットという身近な職場を中心にした障害者雇用の取組みが評価され、ヤオコーは2015年度に「障害者雇用優良事業所等厚生労働大臣賞表彰」、2020年度は「障害者雇用職場改善好事例優秀賞」を受賞した。今後も店舗数を増やす予定だというヤオコーでは、さらに採用活動に力を入れながら、一人ひとりの長所を活かした戦力化と細やかな支援で、だれもが長く働き続けられる職場づくりに努めていくという。人事総務部人事担当マネジャーの佐藤かほりさん働く広場 2023.3

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