働く広場2023年3月号
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石黒 福王 長谷川 ここからは、事前にいただいたアンケートの回答をもとに、議論を深めてまいります。「視覚障害者に適した業務の切り出し方法」について質問をいただきましたが、いかがでしょうか。新規の業務切り出しはせず、「すでにほかの社員が行っている業務であること」、「納期が短納期ではないこと」、「難易度が高すぎないこと」の3条件をベースに、目に負担がかからないようあまりパソコンを使わない業務も混ぜながら、担当業務を決めました。今後は、ただ同じ業務をずっと担当するのではなく、個々人の志向性や成長促進をふまえながら、担当業務の変更を検討していきます。えば、視覚障害のある方もビジネス系のパソコンソフトの操作が可能になります。企業によっては、専用のシステムを利用しているこ音声読み上げソフトを使井上 石黒 長谷川 ともありますので、その場合には私どもが訪問して、業務の切り出しの相談をさせていただきます。拡大読書器があるとデータ入力ができますし、議事録などの文字起こしなども、事務職に慣れていない方に提案することの多い業務の一つです。他部門に声がけして、業務選定をした事例もあります。その都度、ジョブコーチや指導員などが支援にうかがうことが大切です。就労支援機器の導入にあたっての留意点を教えてください。一口に音声読み上げソフトといっても、多種類あります。代表的なソフトの一つのは、使い勝手がよいのですが、導入にあたって、高スペックなパソコンを用意する必要があります。その企業のシステムとの相性もあるので、まずは当機構中央障害者雇用情報センターの貸出制度でお試しいただだくのがよいと思います。JAWS松本 ケーションについても、多くの質問が寄せられています。であれば、ご本人とすり合わせて、座席の位置を工夫する、事前に内容をテキストデータなどで共有する、講師の方も「これ」とか「それ」といった指示語をなるべく使わないようにすることなどが考えられますが、日常的には、どのようなことに心がけていらっしゃいますか。解し、ていねいに会話することが大切だと考えています。音声情報だけで伝えたい内容の理解を深めるのは、とてもむずかしいことだと思うので、粘り強く話すことが必要です。例えば、できるかぎり詳細かつ具体的に伝える、理解が追いつかないまま置いてきぼりになっていないか適宜確認する、オンライン会議では相手のパソコン画石黒 視覚障害者とのコミュニ例えば「集合研修における配慮」個々人の見え方の特性を理工藤 石黒 工藤 面を一緒に見ながら話すなどの工夫をしています。視覚障害は、情報障害です。一人ひとりの見え方に合わせた配慮が必要だと思います。例えば、周りの状況が視覚で確認できないので、慣れない場所に行く際などには、周りの状況を細かくガイドしてもらえると助かります。また、同席した相手がだれなのかわからない状況もありえますので、挨拶や声がけなどで、名乗っていただけると助かります。次に、視覚障害者の今後の職業や支援のあり方についてうかがいたいと思います。「ヘルスキーパーとしての入社の機会は、減少するのか」いう質問をいただいておりますが、いかがでしょうか。リモートワークの導入により、一時ヘルスキーパーの自宅待機などがありましたが、いまは出社を再開している企業がほとんどです。盲学校などの先生に確認し視覚障害者の活躍できる職場環境をつくるために視覚障害者とのコミュニケーションにおいて、求められる配慮とは視覚障害者が活躍する職域の未来とは働く広場 2023.324座会公 「働く広場」「働く広場」開談

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