働く広場2023年3月号
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ル(※1)が石垣島で自ら集めたプラスチックゴミ2017(平成29)年の夏、金沢21世紀美術館で開催された『ヨーガン・レール わり』展は、とても衝撃的でした。ヨーガン・レーや漁網からつくった美しいランプは、ただ「美しい」だけでなく、自分たち人間が利便性を優先し、つくり、買い、使い、捨てるという生活が生み出したゴミ問題への懺■悔■、後悔、哀しみも入り交じっていました。しかしヨーガン・レールのランプの「灯り」は、かすかな希望の象徴のようにも思えました。地球温暖化や海洋プラスチック問題など、地  ■■■     2ても海をプラスチックゴミから守りたい」。そし球環境が急速に壊れていく時代に、「微力であってその活動を、「さまざまな障害のある人たちが夢と誇りを持って仕事をし、未来に向かって希望を持って生きることにつなげたい」。そのことが、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の目標8「働きがいも経済成長も」や、目標14「海の豊かさを守ろう」に関連し、「SDGsが目ざす『誰一人取り残さない社会』の実現に寄与す文明の終るに違いない」。そんな思いで始めたのが、カエルデザイン合同会社の「アップサイクル(※2)アクセサリープロジェクト」です。このプロジェクトのスタートは2019年。当時、僕がディレクターとして働いていた石川県にある障害者就労継続支援施設の『リハス』で始め、いまでは『鳴■和■の里』と『ジョブスタジオノーム』、『米■ライフ』にもお願いし、合計四つの支援施設で行っています。最初はさまざまな障害のある仲間たちと一緒に、金沢の海岸に行ってプラスチックゴミを拾い始めました。細かくなって海岸に流れ着いたプラスチックのうち、直径5㎜以下の小さなものはマイクロプラスチックと呼ばれ、海岸に行くと無数に見つかります。う専門家がいます。海岸に流れ着いた大きなプラスチック片は太陽の熱や紫外線で劣化し細かくなってマイクロプラスチックとなり、それが海に流れ出ます。海岸に流れ着いた海洋プラスチックやマイクロプラスチックを拾うことは、海岸に行くことさえできれば、だれにでもできます。分別して洗って……。夏の暑い日には汗だくになるし、臭いし、冬の寒い日には鼻水が垂れるし。それでも自分たちの海に、海岸に、こんなにプラスチックゴミがあって、それが魚や亀や海鳥やイルカやクジラの命を奪っているという事実を知ったら、放っておけません。障害のある仲間たちもそう感じてくれたに違いありません。洗って、また分別して、大きいモノはカットして、そこからプラスチックをブレンドして板にして、※1 ヨーガン・レール: ファッションデザイナー。1944年生まれ。1999年ごろ石垣島に移住。浜辺の清掃を日課と海岸はマイクロプラスチック製造装置だとい砂浜に這いつくばってプラスチックを集めて、一緒に拾ってきたプラスチックゴミを分別して海洋プラスチックのアップサイクルを始めたきっかけ障害のある仲間たちとともにカエルデザイン合同会社クリエイティブディレクター障害のある人たちとともに海洋プラスチックを資源にカエル高柳豊※2アップサイクル: 廃棄物や不要となったものを、デザインやアイデアを加えて付加価値の高い別のものに生まれしていたという変わらせること

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