働く広場2023年4月号
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収所でリコーの試作機などの解体を手がけている。これまでに苦労したことを聞いた。 「以前、喫煙者だった私は、入社したら職場が禁煙になりイライラすることが増えてしまいました。でも会社の補助で禁煙外来の治療を受け、食生活が改善し、仕事も安定しました。鉄道のジオラマづくりを趣味にするようにもなり、禁煙に成功したばかりか飲酒も減りました」ジオラマづくりでは、回収所に集まるウレタンや木板、発泡スチロール、LEDを再利用しているという。もともと能代田さんはリサイクルへの関心が高く、これまでにも廃材を使った整理箱など、いくつも社内提案してきたそうだ。ちなみに能代田さんは昼休みの時間にも、従業員用休憩室でジオラマづくりをしている。指導員を務める萩は原わ恵け一いさんは、「休憩室は、従業員が少しでもリラックスできるような場にしています。それぞれ好きなことをしたり、みんなでジグソーパズルをつくったりしています。能代田さんのジオラマも飾られています」と教えてくれた。休憩室でのリフレッシュのおかげもあるのか、「職場では集中力が高い従業員が多く、その能力を仕事に活かしています」とも話してくれた。コロナ禍では苦労もあったそうだ。「作業量が大きく減ったなかでモチベーションを維持するために、より細かく解体したり、清掃の範囲を増やしたりして、職場環境を整えてきました。今後も少しずつ業務拡大をしていけたらと思っています」オフィス業務課では2018年、新たにビーカー、試験管、フラスコなどの洗浄業務を開始した。現場はリコーの研究開発エリアだ。小池さんが説明する。 「研究開発の現場は部外者の出入りを厳しく制限しているので、以前は洗浄業務も研究員の手で行っていました。その後、外部委託を検討の際、エスポアールでもできるとアピールして実現させました」この取組みは2019年、リコーグループの社内表彰『リコーウェイ・アワード』でブロンズ賞を受賞。その実績をはずみに2020年から「JIS規格改定書」の差し替え業務もスタートさせた。書類が保管されているリコーの図書館で、指定番号に沿って新しい書類と差し替える作業だ。また小池さんは、「本の貸し出し宝ほさんたちエスポアール社員2人が、リコー業務は、手続きがほとんどパソコンで完結するようになったため、人による作業が必要な本の整理業務のほうを、エスポアールで少しずつ引き継いでいけたらと考えています」と先を見すえる。静岡県御殿場市にあるリコー環境事業開発センター内に2016年、エスポアールのリサイクル課が誕生した。おもな業務は、リコーで生産される複写機の部品「現像ユニット」の梱包だ。約20分ごとに運ばれてくるケース入りユニットを取り出して緩衝材とともに箱詰めし、空かケースを戻す。 「レベルの高い梱包作業で、ケースをすみやかに戻さないと次の部品を出せないというプレッシャーもあります。ここまでしっかりと製造ラインの一角を障がいのある従業員だけでになうのは、なかなか珍しいと思います」と小池さん。立ち上げ準備には、指導員の渋し谷や八や千ちから1年間限定で派遣された社員と一緒に業務手順や指導法を考えた。渋谷さんは「私はもともと製造現場にいましたが、研究開発の現場でレベルの高い梱包作業 ぶ ぎらいち ら    8工場のラインをさらに改良し、より使いやすくした作業スペース機械を使ったチェック作業で取りつけ漏れなどを防ぐ指導員の萩原恵一さん働く広場 2023.4

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