働く広場2023年4月号
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煎せ作業だ。鬼き海か翔し太たさん(21歳)は、「コーヒー豆が大きな声でNPO法人みのりが運営する、埼玉県上あ尾お市にある多機能型事業所「領り家けグリーンゲイブルズ」では、視覚障害があり知的障害などほかの障害もある盲重複障害者らが、点字名刺の制作やマッサージ、農作業など、さまざまな活動を行っている。なかでも注目を集めているのが、音を頼りに行うコーヒー豆の焙ば同事業所では視覚障害のある人の活躍の場を広げるべく、地元のカフェの店長から指導を受け、コーヒー豆の焙煎を行っている。ガス直火式の業務用焙煎機を使用し、視覚障害のある利用者が、加熱されたコーヒー豆の弾ける音「ハゼ」を聞き取り、焙煎度合を調整する。色に惑わされることなく、音で焙煎度合を確認するため、よりベストなタイミングで焙煎終了できるという。焙煎チームでハゼ音を聞き取る役目をになう山や仲な聡あら彰さん(32歳)は、「豆によってハゼるタイミングや音が違う。最初はむずかしかったですが、いまは聞き分けることができます。新しい産地の豆にもチャレンジしていきたい」と語る。同じくハゼてくれるとうれしい。チームでの焙煎作業はとても楽しいです」と話す。焙煎を終えたコーヒーは、焙煎チームメンバーによるカップテスト(試飲)が行われる。メンバーの「上品な酸味でおいしい」、「甘みとコクがある」などのコメントは、「焙煎記録」に書き入れられ、また、時間ごとの温度変化なども記入される。焙煎記録は、「味」を追い求める試行錯誤の証であり、彼らの誇りでもあるのだ。現在は、生産が追いつかないほどに注文が殺到し、購入者からの「おいしい」という声が彼らのやりがいにつながっているという。ょうょう  いかきま んい げコーヒー豆を焙煎機に投入する。焙煎機は一度に1㎏まで焙煎できる業務用だハゼ音を聞き分けるために、焙煎チーム全員が耳を澄ませる焙煎前のコーヒー豆。産地などによって目ざす焙煎度合が異なる働く広場 2023.416

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