働く広場2023年4月号
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(文:一般社団法人岡山障害者文化芸術協会 阪本文雄)(きらぼしアートセンター)(きらぼしアートセンター)協力:一般社団法人岡山障害者文化芸術協会画材:ケント紙、ボールペン、コピック/サイズ:A3(297mm×420mm) 長いくちばしのペリカンがぽつんと立ち、遠くを見つめている。黒のボールペン 長いくちばしのペリカンがぽつんと立ち、遠くを見つめている。黒のボールペンでアウトラインを描き、色づけは130色あるコピックというカラーペンから選び出し、くちばし、目、足元は黄色。背中の羽は黒色。海面は1本の線、一筋。水面に写る影も一筆描きのよう。実にシンプル。線も色も無駄がない。描写に余韻を感じさせ、詩的な感じが漂う。一つの作品を10分ほどで仕上げる。下描きせず、フリーハンドで思うままに一気に描く。 絵を描き始めたのは、保育園のときから。小学生になるとコピー用紙をホッチキスで留めてノートをつくり、『おおきなかぶ』などの絵本をもとに、自分で絵物語を描くようになる。成長とともに写真集などから鳥を多く描き、昆虫、花へと広がる。最近は、母親が撮影した公園や動物園の動植物の写真をもとに作品が生まれ、ペリカンの絵も岡山県の池田動物園での1枚から。この作品は昨秋の「きらぼし★アート展」に出展、高い評価を得て、多くの人々が見入った。長谷川 海(はせがわ・かい) 1991(平成3)年生まれ。岡山県岡山市在住。 幼児のとき、自閉症と診断された。地域の小・中学校で学び、特別支援学校高等部へ進む。卒業後、パソコンの解体をする職場で8年間働いたが、聴覚過敏になり退職。就労継続支援A型・B型事業所を経て、2021(令和3)年から在宅生活。現在はアート活動をする就労移行支援事業所を利用、絵を描く日々を過ごし絵本出版の夢が膨らむ。ピアノ演奏も楽しんでいる。長谷川 海今日は魚がいない

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