働く広場2023年4月号
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複写機などを手がける大手メーカー「株式会社リコー」(以下、「リコー」)は、1994(平成6)年に「リコーエスポアール株式会社」(以下、「エスポアール」)を設立し、同年5月に特例子会社に認定された。その経緯について、2013年から代表取締役社長を務める小こ池い寿と孝たさんが説明する。 「当時は『障害者雇用率』を十分クリアしていましたが、グループ会社内での積極的な障がい者雇用推進の声に対し、経営陣も賛同しました。目的は、社会貢献の意味合いが強かったようです」従業員10人程度の規模でスタートし、着実に担当業務を増やしながら組織を拡大してきた。いまでは全従業員68人、うち障がいのある従業員54人(身体障がい2人、知的障がい49人、精神障がい3人)、グループ5社の障がい者雇用率は2・52%(2022︿令和4﹀年6月1日現在)だという。職場は、リコー厚あ木ぎ事業所(神奈川県厚木市)にある本社の「生産課」、リコーテクノロジーセンター(神奈川県海え老び名な市)にある「オフィス業務課」、リコー環境事業開発センター(静岡県御ご殿て場ば市)にある「リサイクル課」の3カ所だ。おもな業務内容は、複写機アフターサー  ちつしかけん  つ  5廃棄物の分別、機密文書の整理、メールビス用部品の包装・梱包、リサイクル部品の洗浄、転写ユニットの梱包、廃トナーボトルの組立、回収現像ユニット開梱、便の仕分け配達、ペットボトル・空き缶の回収、作業着の回収とクリーニング、清掃、ビーカー・試験管などの洗浄、「JIS規格改定書」の差替えなど多岐にわたる。小池さんは「リコーの生産現場と相談しながら、入念な準備と当事者目線の指導で実績を積みあげ、製造ラインの一角も任せてもらえるようになりました」と話す。同社の現場の取組みや、従業員の奮闘ぶりを紹介したい。口ぐ哲て也やさん(48歳)。以前勤めていた会社エスポアールが設立当初から請け負っているのが「複写機アフターサービス用部品」の包装業務だ。自動包装機も操作しながら1日約2万個をこなせることから、安定的な収益源の一つとなっている。リコー厚木事業所内の現場を見学させてもらった。自動包装機に資材を補充していたのは、生産課包装グループの田た野ので体力面や人間関係に悩み退職したという田野口さんは、障害者自立支援センターPOINT123リコーの特例子会社機械も操作し部品包装★本誌では通常「障害」と表記しますが、リコーエスポアール株式会社様のご意向により「障がい」としています代表取締役社長の小池寿孝さん株式会社リコー厚木事業所内にあるリコーエスポアール株式会社の本社・生産課資材の補充を行う田野口さん生産課包装グループの田野口哲也さん働く広場 2023.4新規業務は2年かけて準備し、従業員の目線に立った指導法などを工夫アビリンピックやスポーツ大会などへの参加も、積極的に応援親会社などには業務のコストや損益を明確に示し、課題共有につなげる

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