働く広場2023年5月号
10/36

本社工場内の拠点不良品は年間10件未満に個人ファイルで情報共有一い路ろさん(25歳)。これまでに担当した業親会社の本社工場内の一角にも、ふぁみーゆツダコマの作業拠点がある。この日、織機に使われる金属部品にボルトなどを組み込んでいたのは、入社7年目の新し崎ざ務は「数えきれないほど」だが、「いろいろな経験ができるのもこの職場のよいところです。一人でできる作業を増やしていきたいです」という。新崎さんは、プライベートでは陸上の短距離競技を続けており、昨年開催された日本ID陸上競技選手権大会にも出場。「自己ベストに近い記録でした。今後も続けていきたいです」と笑顔で語ってくれた。作業グループの社員は、職場では常に「メモリーノート」を手元に置いている。朝礼前に当日の体調や睡眠時間を記入し、作業中は、担当する作業内容(製番など)を記入しながら確認しているそうだ。記入表の下には「今日注意されたこと、気をつけること」を書く欄もある。山田さんは、「実際は、いろいろ書き忘れていることも多いのですが、1日の流れを客観的に確認すること自体が大事です」と説明する。また、障害のある社員たちの安全教育やスキルアップのために月1回、就業時間内の約1時間を使って「KYK(危険予知活動)」と「FBK(不良防止活動)」も実施している。親会社での同様の活動をアレンジした内容だ。KYKでは、数人ずつグループごとに、提示された作業風景イラストから「危険な部分」を見つけ出し、対策を考える。FBKでは、次工程で発見された不良や、作業中の自主検査で見つけた不良の「原因」について、社員から意見を求め「なぜそうなったか」、「そうならないためには次からどうしたらよいか」を自ら導き出してもらい、全員と情報共有するという。こうした活動や日々の積み重ねが奏功し、以前は年20件ほど確認されていた不良件数も、10件未満に抑えられるようになった。山田さんは「最初はスタッフが全部品をダブルチェックしていましたが、数年で障害のある社員に任せられるようになりました。目標の年間5件におさまった年もあります」と手ごたえを語る。本社の地下フロアにあるショールームも見せてもらった。最先端の革新織機「エアジェットルーム」は、空気の吹き出す力でヨコ糸を飛ばしながら織り上げる仕組みだ。鈴木さんが話す。 「目に見える所にも隠れた所にも、障害のある社員が組み立てた部品が使われています。たまに勉強会と称して社員たちを連れてきて、自分たちがどんなに重要な部品をつくっているかを再認識してもらっています」鈴木さんは2年前、障害のある社員一人ひとりのさまざまな情報をまとめた個人ファイルを全員分作成した。「当時、社員の一人が精神的に不安定な時期が続いたとき、スタッフみんなで対応しやすいよう情報共有のためにつくりました」ちょうど少し前に、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成研修を受けた鈴木さんは、そこで学んだことも参考に作成したそうだ。スタッフだけでなく社長にも目を通してもらうという。毎週金曜日には障害のある社員の家族      ちんき  8事に取り組んでいるか、会社の状況などあてに週報を送り、社員が現在どんな仕働く広場 2023.5新崎さんは、本社工場内の一角で作業を行っていた作業グループの新崎一路さん部品にネジやナットを取りつける田中さん作業グループの田中尚生さん

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る