働く広場2023年5月号
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本社内に庶務グループ現場の生産を支える戦力として9ろたましつ  うたち    も含めて知らせている。「ちょっとした連絡事項や家庭での様子などを書いて送り返してくれる親御さんもいて、ほどよい連携ができています」と鈴木さん。毎年夏には社員の家族らを招き、本社敷地内でバーベキューを開催してきた。最近はコロナ禍で中止になっているが、今年は再開したいという。津田駒工業の本社にある総務庶務関係部署の一角には、ふぁみーゆツダコマの庶務グループがあり、現在3人が在籍している。名刺印刷から社内書類の印刷・封入、株主総会向けの備品準備、電話対応まで多種多様な事務系の業務を一手に引き受けている。ここで入社13年目になる車いすユーザーの城し下し由ゆ香か里りさんと、同僚の松ま橋は珠た代よさんは長いつき合いだ。城下さんが「松橋さんには車いすでは困難な作業も率先して助けてもらっています」というと、すかさず松橋さんが「城下さんは、それ以外の仕事をしていますし、何かしてあげているという感覚はまったくありません」と笑顔で返していた。野の浩こ司じさんにも話を聞いた。北野さんは本社内で唯一の車いすユーザーだという城下さんは「車通勤ですが、雪が降った日などは屋根のある玄関前に駐車させてもらうなど配慮してもらい、たいへん助かっています」と話す。本社の廊下などを移動するときには、車いすの音が静かすぎて歩行中の社員とぶつかりそうになることがあるため、あえて大きめの鈴をつけている。ちなみに城下さんは、プライベートでは電動車椅子サッカーチームに所属し、昨年の全国大会では約30チームのなかで準優勝に輝いたそうだ。2023年2月下旬に、ふぁみーゆツダコマの代表取締役になったばかりの北き親会社の取締役、管理部門統括、総務部長なども兼任。製造現場のこともよく把握しているため、ふぁみーゆツダコマにとっては大きな支えでもある。 「入社以来ずっと製造畑を歩み、特に本社工場の織機部門に長くたずさわっていました。現場で見かけていたふぁみーゆツダコマの社員は、真面目な仕事ぶりと元気のよさが印象的でした。同じ津田駒工業の仲間として、互いに刺激になっていると思います」親会社の取締役になってから何度か視察したときは、複雑な部品の組立作業をこなす障害のある社員の姿に感心したそうだ。 「本社の製造現場とスタッフがうまく連携し、実際に請け負うための作業や治具関係の工夫を重ねてきた結果だと実感しました。これは親会社でも続けてきた創意工夫の社風の現れだと自負しています。社員のスキルも相当に上がってきており、間違いなく津田駒工業の生産現場を支える大事な戦力になっています」北野さんは今後、ふぁみーゆツダコマの人員増を含めて規模を大きくしていきたいと明かした。 「本社から7㎞ほど離れた野の々の市い工場にも拠点をつくり、工作機械部門の作業請負など、業務の幅を広げていきたいと考えています。障害のある社員の年齢層が偏りつつある課題もあり、若い人を採用しながらスキルの継承も考えていく必要もあります。いずれにせよ、これからも『ふぁみーゆ』の名前の通り、家族のような温かい職場で、社員一人ひとりが津田駒工業を支えていける存在になるよう引き続き努力していくつもりです」働く広場 2023.5代表取締役の北野浩司さん庶務グループで働く城下由香里さん(左)と松橋珠代さん(右)津田駒工業株式会社が製造する大型織機「エアジェットルーム」

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