働く広場2023年5月号
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(以下、「国リハ」)および国立吉■備■高原「吉備リハ」)では、求職者の職業訓練だけではなく、休職者の職場復帰を目ざした職業訓練(以下、「職場復帰訓練」)、在職者のスキルアップを目ざした在職者訓練も実施しています。 「休職中の障害のある社員の復職をどうしたらよいか」と悩んでいる人事担当者もいるのではないでしょうか。国リハや吉備リハの職場復帰訓練は、身体障害、 高次脳機能障害、難病の方を対象に行っていますが、今回は、最近問合せが増えている視覚障害者の職場復帰訓練についてご紹介します。国リハおよび吉備リハでは、視覚障害者を対象とした事務系の訓練コース(※)を設置しています。職場復帰訓練に限らず、視覚障害者がパソコンを中心とした事務系職種で必要なスキルを習得する場合、視覚障害者用支援機器やソフト(以下、「支援機器」)を活用します。特に重度視国立職業リハビリテーションセンター職業リハビリテーションセンター(以下、覚障害者(障害等級1・2級)の場合、支援機器の使用が必須となることも多く、支援機器の使用経験がない、あるいは少ない場合には習熟に時間を要すことがあり、訓練目標や訓練期間設定の際に留意が必要です。職場復帰訓練は、障害の進行や事故等により受障し、休職している障害者が職場に復帰するために必要な技術・知識を習得する訓練で、訓練期間は標準で半年間です。短期間でスムーズな復職につなげるため、企業や対象者と相談しながら、復帰後の職務を想定した実践的な訓練に取り組むことが重要な点といえます。そのため、職場復帰訓練を行うにあたっ     て、国リハや吉備リハの担当者が企業に訪問して職場環境や業務内容を確認するほか、企業の担当者が職業訓練の様子を見学して、視覚障害者が働く際に必要な支援機器や操作状況を、直接確認する機会を設けています。事前に確認しておくと業務設定、作業切り出しの検討をスムーズに進めることができます。また、視覚障害者が働く際の課題として作業指示のむずかしさがあります。そこで訓練期間中は、復職時に想定している業務や環境で支援機器を使用して事前に課題を発見し、対応策を検討することにしています。さらに、企業担当者が訓練対象者の作業の様子を実際に見ることによって、新たな仕事を任せる際の判断材料にもできます。なお、社内専用システムを活用する場合など、訓練場面で実際の職務の再現がむずかしいこともありますが、可能なかぎり実際の職務に近い環境での訓練を目ざしています。復職時にどの程度の職務を遂行できるかは、対象者のパソコンスキルによってはじめに視覚障害者の職業訓練職場復帰訓練働く広場 2023.5(支援機器の例)画面読み上げソフトと点字ディスプレイ「ITビジネスコース」(吉備リハ)https://www.kibireha.jeed.go.jp/course/systems.html支援ソフト、機器の使い方Windowsの設定事務処理に必要な技能・知識の習得復帰後の職務を想定した訓練フォローアップ業務の切り出し等事業主の協力が不可欠指導員が訪問しての支援※ 「視覚障害者情報アクセスコース」(国リハ)  https://www.nvrcd.jeed.go.jp/person/training/business/index.html 障害者職業能力開発校では、在職中の障害のある社員への職業訓練を行っているところもあります。障害のある社員が長く活躍できるように、障害者職業能力開発校を活用してはいかがでしょうか。そこで第2回は、視覚障害のある休職者が職場復帰を目ざすための職業訓練についてご紹介します。図  視覚障害者の復職に向けた 訓練の流れ10クローズクローズアップアップ障害者職業能力開発校の障害者職業能力開発校の活用術 活用術 第2回第2回〜社員個々の能力を発揮して活躍してもらうには〜〜社員個々の能力を発揮して活躍してもらうには〜

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