働く広場2023年5月号
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ザインプロジェクト(2019年、2021年)・表現活動における児童生徒の魅力を引き出す授業デザインの検討・卒業後、魅力ある社会人になるための9年間の指導計画検討・児童生徒の自己理解を引き出す授業デザインの検討④特別支援学校における授業成果の「見える化」〜評価しにくい内容を評価しやすくするための手続き〜(2022年)こうした研究の内容については各種研究報告会や学会発表などの機会で知ることができると思う。横国・特支は使命としてさまざまな教育研究に取り組んでおり、その成果は「明日の教育実践」に活かされている。教育研究・授業研究は、人材育成につながる。教職員の資質向上を目的とした研修のほかに、横国・特支では、横浜国立大学教育学部などから教育実習生や介護などの体験生を受け入れる「開かれた学校」であり、これは特に附属学校の強みの一つであるといえる。未来の若手教育者を育てるための教育実習のほか、JICA研修、公開講座などにも活用されている。大学院生が取り組む研究をサポートするという人材育成もある。また非常勤講師のシステムにより、研究を行う大学院生が早くから教育の実践現場にたずさわる機会を提供している。横国・特支はたいへん広い土地にあるため、風通しがよく、教室の中にも太陽の光が明るく差しこんでいる。心地よいキャンパスだ。この風通しのよさは、自然だけでなく、おそらく人間関係でも同様なのだろう。そんな印象を強く受ける学校だ。次に、高等部の進路状況を見てみよう。2019〜2021年で、高等部の13人が特例子会社に就職し、3人が職業訓練校あるいは専門学校へ進学している。そして就労移行支援事業所には7人が、就労継続支援B型事業所には4人が、それぞれ「サービス利用者」となっている。吉岡先生によると、「過去3年間における企業就労率は5割」とのことであった。ただし、企業就労のみをゴールとしているわけではなく、在宅も含め、横国・特支は進路選択の幅を広げた指導を実施している。企業就労のうち、特例子会社と一般企業雇用の割合は6対4とのことであった。本校を卒業した知的障害のある方々の仕事内容は、直近のデータによると、清掃(27%)、販売(25%)、事務補助(21%)、PC作業(11%)、軽作業(8%)、介護・保育(6%)、厨房補助(2%)である(図)。また、2016年から2020年の5年間で、就労継続支援B型事業所への進路率は10%減少している。その代わり、就労移行支援事業所の利用は10%増加した。こうした傾向から、卒業後の進路先が企業就労により近づいていることがうかがえる。次に、進路指導担当の吉岡先生が案内してくださったのは、小学部、中学部、高等部、職員室、進路資料室である。教室内では、複数教員によるティーム・ティーチング教育が用いられている。例えば、6人の小学部教室におじゃましたときには、2人の教員が生徒にきめ細かく教えていた。高等部学生の進路状況進路指導について働く広場 2023.5(資料提供:横浜国立大学教育学部附属特別支援学校)高等部「キャリア」の授業           図 卒業生の職種別の企業就労状況(2011〜2020年度)企業就労厨房補助介護・保育6%軽作業8%PC作業11%事務補助21%企業就労のうち特例子会社と一般企業の割合は6:42%清掃27%販売25%23

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