働く広場2023年5月号
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Part2第30回職業リハビリテーション研究・実践発表会Ⅰ「『同僚』のちょっとした理解とサポートが力になるⅡ「大学等における発達障害学生への連携支援について」パネルディスカッション〜障害のある社員が働きやすい職場づくりについて〜」職業リハビリテーションに関する研究成果を周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を生み出すための機会として、毎年開催されている「職業リハビリテーション研究・実践発表会」。今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じ、定員を減らしたうえで特別講演やパネルディスカッションなどを実施し、その様子をリアルタイムで配信して視聴いただける形式をとりました。また、昨年度に引き続き、その様子の動画や実践事例などの発表資料を当機構障害者職業総合センター︵NIVR)のホームページに掲載しています(★)。今号では、パネルディスカッションⅠ・Ⅱの様子をダイジェストでお伝えします。パネルディスカッションⅠ障害者の離職理由の一つに、上司や同僚などとの人間関係の悪化が挙げられます。障害のある社員が安心して働き、仕事の成果を上げるには、「職場に受け入れられている」という感覚を持てることが大切です。そのためには、人事担当者や企業在籍型ジョブコーチなどの支援者だけではなく、受け入れる職場の上司や同僚が大きな役割を果たすと考えられます。パネルディスカッションⅠでは、障害者職業総合センター研究員の宮み澤ざ史し穂ほ氏をコーディネーターとして、株式会社スタックス代表取締役社長の星ほ野の佳よ史ふ氏、株式会社良品計画人事部の成な澤さ岐き代よ子こ氏、常磐大学人間科学部准教授の若わ林ば功い氏をパネリストに迎えて、これまであまり注目されてこなかった「同僚」に焦点をあて、障害のある社員が働きやすく、力を発揮しやすい職場づくりについての意見交換を行いました。はじめに、宮澤氏より、本ディスカッションの背景として、障害のある従業員の同僚に対する調査の結果(※1)が紹介されました。それによると、例えば「障害のある方に対して何かサポートをしたことがあるか?︵複数回答)」という質問に対しては、「声をかけている︵31・2%)」、「話し相手になっている︵18・1%)」、「仕事に関してアドバイスしている︵16・3%)」、やしさお「障害のある方を認めており、それを伝えている︵14・8%)」、「仕事を手伝っている︵14・7%)」、「相談にのっている︵12・6%)」、「特に何もしていない︵43・7%)」となっており、過半数の同僚が、障害のある社員に対して何かしらのサポートをしている実態があることが報告されました。の取組み事例などが紹介されました。金属部品を製造する株式会社スタックスの星野氏からは、従業員54人中、障害のある社員3人を雇用している事例が紹介され、「障害のある社員の特性を理解するために従業員向けの研修を実施する」、「同僚の配慮が行き過ぎて遠慮とならないように、必要な場合には社長が介入する」、「体験実習などでは、当事者の能力よりも、受け入れ側の従業員の様子をチェックする」など、中小企業の立場で、障害者を雇用する環境をつくるために工夫している点などが紹介されました。 ﹃無印良品﹄を運営する株式会社良品計画の成澤氏からは、店舗や人事部が共同で採用活動を行い、障害のある社員の活躍を後押ししている「ハートフルプロジェクト」の取組みが紹介され、プロジェクトの意義や必要な配慮などについて同僚の従業員の理解をうながし、障害のある社員を仲間として迎える風土をつくることで、理解者や経験者が増えていく、安定的な障害者の雇用や定着につながっている事例が紹介されました。    かるわししみわや  に、「ナチュラルサポート︵一般の従業員が職場において、自発的または計画的に援助を提供次に、各パネリストから、それぞれの企業内若林氏からは、議論を深める材料とするため﹃同僚﹄のちょっとした理解とサポートが力になる~障害のある社員が働きやすい職場づくりについて~(注)コーディネーターおよびパネリストの方々の所属先・役職は開催日時点のものです★右記ホームページにて、動画や発表資料をご覧いただけます。https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/30kaisai.html(※1)資料シリーズNo.105「障害等により配慮が必要な従業員の上司・同僚の意識に関する研究」(2022)働く広場 2023.5https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/shiryou/shiryou105.html28

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