働く広場2023年5月号
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すること)」や「合理的配慮」の概念、同僚のサポートが発生するための要因について考察した理論や研究などが紹介されました。後半のディスカッションでは、「同僚が困ったときに相談できる環境があることが大切」、「助けてあげたいと思ってもらえるように、本人の行動に問題がある場合には、本人にそれをうまく伝えることも重要」などの意見が出され、活発な議論がなされました。パネルディスカッションⅡ大学等で学ぶ発達障害のある学生は年々増加しています。支援体制を構築して成果が出ている大学もありますが、多くの大学では就労支援を実施する体制などに困難を抱えており、発達障害のある学生に対する大学等と就労支援機関との連携による就労支援の充実強化が必要になっています。パネルディスカッションⅡでは障害者職業総合センター主任研究員の井い口ぐ修し一い氏をコーディネーターとして、富山大学保健管ゅうちち       つろきららしらかま十みぐ二氏をパネリストに迎えて、発達障害の学生理センター客員准教授の西に村む優ゆ紀き美み氏、特定非営利活動法人リエゾン理事長の中な山や肇は氏、千葉公共職業安定所専門援助部門雇用トータルサポーターの白し崎さ裕ひ美み氏、東京障害者職業センター多摩支所主任障害者職業カウンセラーの小お野の寺でに対する大学と就労移行支援機関との連携による就労支援の在り方について考えていきました。はじめに井口氏から本ディスカッションの背景として、発達障害学生の就労支援にかかる調査研究結果(※2)が紹介され、連携支援の課題として、大学側から「就労支援機関の情報不足や利用制限」、「学内支援体制の人員不足」、「障害者施設の利用に難色を示す学生が多い」などが、就労支援機関側では「学生・家族の障害理解」、「学内の支援体制等により連携が求めにくい」、「学業と就職活動の並行実施の難しさ」、「利用可能な就労支援が限られる」などが挙げられているとの説明がありました。次に各パネリストから、それぞれの取組み事例が紹介されました。西村氏からは、学内の関係者や家族が連携して、学生の学ぶ機会の保障と、自己理解・自己対処力の向上、社会参入への意欲につなげている取組みが紹介され、その支援を就労移行支援や企業に引き継いでいくことの重要性が強調されました。就労移行支援事業所として、富山大学と連携して学生の支援にあたっている中山氏からは、大学と支援方法や情報の共有をしながら、就労に必要な訓練の提供とアセスメントやモニタリングを行い、就職先の企業に支援をつないでいった事例が紹介されました。白崎氏からは、発達障害を含め、就じめ職活動に困難を抱える学生を大学と連携して支援するために「新卒応援ハローワーク」内に設置された「特別支援チーム」が紹介され、大学との連携をとりやすくするための仕組みの必要性が強調されました。小野寺氏からは、地域障害者職業センターで実施している発達障害の学生に対する就労支援の内容や相談内容の傾向などが紹介され、発達障害のある学生に対する「支援の個別性」、「支援の連続性」、「ネットワークによる支援」が大学・支援機関・企業などの連携による支援のポイントであることが言及されました。者雇用の知見がなく、どのように連携したらよいのかわからないといった課題がある」、「教員など、学生の傾向を把握しやすい関係者を巻き込むことで、取り残される学生がないようにすることが大切」などの意見が出され、活発な議論がなされました。後半のディスカッションでは「大学には障害大学等における発達障害学生への連携支援について働く広場 2023.5(※2)調査研究報告書No.166「発達障害のある学生に対する大学等と就労支援機関との連携による就労支援の現状と課題に関する調査研究」(2023)https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku166.html◇お問合せ先:研究企画部企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)星野佳史氏若林功氏小野寺十二氏宮澤史穂氏成澤岐代子氏西村優紀美氏白崎裕美氏井口修一氏中山肇氏29

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