働く広場2023年5月号
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ローテーションで多能工化難易度の高い組立作業もょう稜り丸まさんは、親会社の組立課で6年の経た」と明かす。一方の山田さんは、「よきお父さん」的存在として社員を叱咤激励する役目を自任し、「直してほしいところは、地道にいい続けることも大事です」と語る。ちなみに鈴木さんは、自ら「お母さん的存在です」と紹介。職場では、作業の下準備や障害のある社員の精神的なフォローが大きな役目だそうだ。作業グループの出向スタッフとして昨年、初めて20代の若手が加わった。本も島じ験がある。ふぁみーゆツダコマでは年上の障害のある社員が多いことから、どう対応したらよいのか悩んだが、少しずつ指示や注意をすることに慣れてきたそうだ。自身の変化についても語ってくれた。 「障害のある人への見方が変わりました。ここで一緒に働くようになり、『こんなこともできるんだ』、『こんなふうに話すんだ』と気づくことが増え、視野が広がりました」プでは、年1回程度の作業ローテーションを軸に、より多くの障害のある社員が数多くの作業を担当できるよう多能工化を図っている。崎さんは「親会社で手がけるのは専門機械なので、特殊な小ロットの部品が必要です。部品の組立や補助作業も、必然的に多能工化が求められます」としたうえで、「短期間で交替しながら取り組むことで、社員の気持ちがリフレッシュされ、スキルアップにもつながります」と説明する。障害のある社員が担当する業務は、一人あたり年間6種類前後。優先順位もつけてバランスよくマスターしていけるよう、うながしている。崎さんは、「業務の幅を広げることがむずかしい社員は、できる作業の“質”を上げていきます。私でもかなわないほど上達した社員もいます」と目を細める。入社12年目の吉よ田だ惇じ一いさん(30歳)は、昨年11月の作業ローテーションを機に、給油バルブ部品とチューブの接合作業を担当している。「油を供給するためのバルブ接合に必要な部品なので、しっかりと密着させないと油の圧力で吹き飛んでしまう恐れがあります」と詳しく説明してくれた。続けて吉田さんは、「昔やっていた作業を久しぶりにまた担当するときは、いろいろ忘れているので勉強し直します」と明かす。ゅんコロナ禍の影響で請負量が減った時期には「この機会に新しい作業を覚えよう」と、臨時的な作業ローテーションも実施した。その結果、2月から新しい作業を担当しているのが、吉田さんと同じく入社12年目の山や口ぐ真ま里り佳かさん(33歳)だ。手がけているのは、織機に使われるボビンホルダーの土台補強作業。海外調達した金属ホルダーは、取りつける織機によって土台の補強が必要な場合がある。そこでホルダーをいったん分解し、金属補強プレートを接着剤で貼りつけて乾燥させ、バリ取りをして、再び組み立てるという。山口さんは「接着剤の塗り過ぎに注意し、接着面がずれないようクリップで留めます」と説明してくれた。ちなみに山口さんは2年前から、実家近くで一人暮らしをしているそうだ。週末には掃除などの家事をヘルパーさんに手伝ってもらっている。「私が自立して生活していることで、両親も安心しています」とのことだ。近年は、作業グループが請け負う作業   しち とま  ちま 6も難易度が上がっている。その一つが2働く広場 2023.5集中給油チューブASSYを組み立てる岩中さん作業グループの岩中貴幸さんボビンホルダーに接着剤を塗布する山口さん作業グループの山口真里佳さん吉田さんは、バルブとチューブの接合作業を担当している作業グループの吉田惇一さん作業グループで支援にあたる本島稜丸さん57種類もの業務を請け負う作業グルー

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