働く広場2023年6月号
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eスポーツで障害者の就労を支援する会社裁判所職員からの転身企業担当者もゲームに参加私たちは2019(令和元)年11月、東京都内で障害者の就労支援を目的としたeスポーツ大会を初めて開催しました。就労移行支援事業所やクラウドソーシング会社などに声をかけて、eスポーツが好きな障害のある選手20人ほどが集まりました。同時にIT関連の企業5社の担当者も招いて会場観戦してもらった結果、コールセンターを展開する企業に3人が就職しました。これに手ごたえを感じ、本腰を入れるため2020年に「株式会社もともと私は裁判所の書記官として働いていたのですが、あるとき、地方で一人暮らしをする祖母の住居契約にかかわるトラブルを機に、「成年後見制度」(※2)の大切さを実感しました。もっと一般に広めるために市民後見人の養成講座を受けて、弁護士の元同僚とNPO法人を設立しました。ただこの活動は、裁判所とは利益相反の関係になるため兼業ができないと知り、ePARA」を設立しました。裁判所を退職して社会福祉法人品川区社会福祉協議会(社協)に入りました。いましたが、同じフロアに障害のある人もよく訪れていたことから、自然と話す機会が増えました。私が大好きなeスポーツを同じように楽しむ人も多くてうれしい驚きがあった一方、「もっと働きたい」、「やりがいのある仕事をしたい」といった声も聞きました。eスポーツをする人は相応のパソコンスキルもありますから、就労支援にも活かせるのではと考えるようになりました。を中心にパソコンスキルなどを必要とする企業を招待しています。競技の様子を直接見てもらうと、企業の担当者から毎回、「こんなに高いスキルを持った人たちがいるのですね」という感嘆の声を聞きます。私も彼らの能力を再認識するとともに、出会いの接点をつくることで、こんなふうに人の心を動かせるのだと実感します。ムのメンバーとして競技に参加してもらっています。競技はチーム制で行うことが多く、メンバー同士の作戦会議や競技中のコミュニケーションが欠かせません。競技を通して企業担当者は、選社協では成年後見制度にかかわる仕事をして私たちのeスポーツ大会には、IT関連場合によっては企業担当者も、eスポーツチー――加藤さんが設立した﹁株式会社ePARA﹂は、eスポーツ(※1)で障害者の就労を支援しているそうですね。加藤 ――eスポーツを活かした障害者の就労支援を行おうと思ったのはなぜですか。加藤 ――eスポーツは、どのように採用とマッチングしていくのでしょうか。加藤 働く広場 2023.6PARA代表取締役株式会社e■■■■加藤大貴さんかとう だいき 1981(昭和56)年、愛知県生まれ。2007(平成19)年、法政大学法科大学院修了、国家公務員として2011年から2019年まで東京地方裁判所勤務、2018年12月に「特定非営利活動法人市民後見支援協会」を設立し副代表に就任。2019年から2021年まで社会福祉法人品川区社会福祉協議会に勤務。2020(令和2)年、障害者の就労支援やeスポーツ事業を行う「株式会社ePARA」を設立。  ※1 eスポーツ:「エレクトロニック・スポーツ(electronicsports)」の略で、おもにコンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦などをスポーツ競技としてとらえる名称16「eスポーツ」が障害者の 就労機会を広げる

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