働く広場2023年6月号
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医療法人社団三■■愛■■会■■三■船■■病院就労移行支援事業所みなみ瀬戸大橋を渡り丸ま亀が市しへ。香川県は東と県域中央部・中讃(善ぜ通つ寺じ、坂さ出い、琴こ平ひなど)の中心地で、うちわの生産地で知られる。JR丸亀駅から車で10分のところに医療法人社団三愛会(以下、「三愛会」)の三船病院はあった。戦後間もない1953(昭和28)年、開放的な環境下で園芸、農耕、畜産、縫製などによる作業療法を中心に治療を行う精神科病院として開院した。右肩上がりの経済成長ゅう讃さ、中ち讃さ、西せ讃さに分かれるが、丸亀市はとともに入院患者も増え、在院日数も長期化していった。 「1985年がピークで、入院患者数は約700人でした。いま、2023(令和5)年の入院患者数は約320人ですから、半分以上の減少です」と三愛会理事長の三み船ふ和か史しさんはふり返る。1987年、精神衛生法から精神保健法にあらためられ、国は精神障害者の人権に配慮した適正な医療、保護の確保と精神障害者の社会復帰の促進の2本柱を打ち出した。さらに1995(平成7)年、精神保健法は精神保健福祉法にあらためられ、精神障害者の自立と社会参加促進のために援助する福祉施策が盛り込まれた。そして1997年、退院後の生活支援、社会復帰の促進にあたる専門職であり、国家資格の精神保健福祉士制度が始まった。理事長の三船さんはすぐにこれを採用し、年々、職員を増員した。地域での自立した生活のため、生活リズムの確立、定期的な通院、服薬の習慣化など就労に備えたプログラムの指導を行い、個々のケースで就労への取組みを進めた。2004年、精神保健医療福祉の改革ビジョンで入院医療中心から地域生活中心へ基本方針を示し、2005年、障害者自立支援法が制定され、就労支援事業がスタート。精神障害者が地域で暮らし、働く、具体的な公的支援が始まった。三船さんは国の就労支援開始に合わ      ずね るめうんいんんんうかでとら せ、2006年から本格的に在院患者のダウンサイジングに取り組んだ。その一方で、就労支援の施設整備を実施。2008年には障害者就業・生活支援センターを、障害者総合支援法が制定された2012年には就労継続支援B型事業所を、2014年には就労移行支援事業所を開設した。そして2018年、障害者雇用促進法の改正で、身体障害者、知的障害者に加え、新たに精神障害者が雇用率算定の対象になった。三愛会が運営する、多機能型事業所POINT123働く広場 2023.6医療法人社団三愛会三船病院理事長の三船和史さん19精神保健福祉士によって、医療と就労の一体化した支援がスムーズに地域障害者職業センターなど外部の社会資源を活用、就労サービスの専門性を高めている地域の精神科の病院やクリニックとネットワークを構築し、就労支援の拠点へ

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