働く広場2023年6月号
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1 はじめに2 調査方法3 調査結果の概要(1)調査手続き(2)調査内容(1)回答者の属性(2)障害者従業員に関する結果ア 障害や困難の状況イ 障害者従業員への配慮の状況    企業で雇用されている障害者数が増加するなか、採用後の職場定着に向けた企業の取組みや、企業への支援が求められています。先行研究からは、職場の上司・同僚との人間関係の悪化が障害者の離職理由の一つとなっていることや、上司・同僚からサポートを受けることで、働く障害者の職場のストレスが緩和され、雇用継続につながる可能性が示唆されています。このように職場の上司・同僚が障害者の雇用継続に果たす役割は大きいと考えられますが、職場の上司・同僚は人事担当者や企業内ジョブコーチのように障害者雇用に対する知識を持っているとはかぎらず、障害者とともに働くことにとまどいを感じている可能性も考えられます。そこで障害者職業総合センター研究部門では、障害者と同じ職場で働く上司・同僚(以下、「同僚従業員」)に注目し、障害者と働くことに対する意識や行動について明らかにすることを目的とした調査を実施しました。本稿ではその結果の一部についてご紹介します。調査会社が保有するモニターを対象としたWeb調査を実施しました。スクリーニング調査を実施し、年齢が18〜69歳に該当する者を対象に①配慮が必要な障害者と同じ職場で働いている、②障害者の採用に関わる立場にない、という二つの条件を満たす1,000名を抽出しました。 (1)で抽出した1,000名に対して、おもに以下の内容について回答を求めました。①回答者の属性、②回答者と同じ職場で働く障害者(以下、「障害者従業員」)の障害や困難の状況、③障害者従業員に対し、会社等が実施する配慮の状況、④障害者従業員が受けている配慮に対する認識、⑤障害者従業員と働くうえでの課題、障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門⑥障害者従業員に提供するサポートと提供した理由。(40・5%)が最も多く選択されました。また、「ジョブコーチ」や「障害者職業生活相談員」など障害者雇用に関わる資格を保有しているかどうか回答を求めたところ、「保有していない」が95・6%でした。さらに、現在の職場以外で障害者と関わった経験について回答を求めたところ、「特になし」(46・9%)が最も多く、現在の職場以外では、障害者と関わった経験がない者が半数弱でした。したがって、職場における障害者への配慮に関する一般的な知識をあまり持たない回答者が一定程度含まれていると考えられます。のような障害や困難があるか、最も配慮が必要な内容について一つ選択を求めました。その結果、「歩行や階段の上り下りに障害や困難がある」(35・6%)が最も多く選択され、「対人関係やコミュニケーションに障害や困難がある」(17・7%)、「聞くことに障害や困難がある」(11・7%)と続きました。回答者の平均年齢は50・2歳(SD=±10・障害者従業員(想定する1名)について、ど障害等により配慮が必要な従業員の上司・同僚の意識に関する研究働く広場 2023.614)であり、職業は「会社勤務(一般社員)」※1  若林功・石原まほろ・行實志都子(2017).精神障害者・発達障害者への復職支援の実際:障害特性及び職場同僚・上司の理解に焦点を当てて, 職業リハビリテーション, 30(2), 3-11.26

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