ているようです」と成長ぶりに目を細める。高橋さんや阿部さんたちは、朝8時15分の始業に合わせた職場の朝礼に参加したあと、天候を考慮しつつ、その日にできる作業に取りかかる。「広い敷地内にはやるべき作業が山ほどあるので、1年中困りませんよ」と高橋さん。あるときは社屋の外壁を長年おおっていた雑草を、高所作業機も駆使して取り除き、あるときは健康診断などで使う大集会場の床のワックスがけを数カ月間かけてやり遂げた。森田さんも「床がピカピカになっていて、本当に驚きました」と舌を巻くほどのできばえだ。また日常業務として1日3回ほど、2tトラックを運転し、事業部間で部品や書類などをやり取りするシャトル業務も請け負っている。さらに、代表取締役所有の畑を借りてサツマイモや枝豆、タマネギ、イチゴなど多種多様な作物を栽培している。会社の敷地内には、商品の機械を試運転する場として使われている小さなリンゴ園などもあり、「カラスの被害がなかった年は収穫もできました」と高橋さん。 「周囲の市場価格に合わせた値段をつけて、職場内に無人販売所を設けて販売しています。その売上金で肥料などもまかなっています。将来的には地元の即売所で売れるようになったらいいですね」会社敷地内の樹木の剪せ定て作業や、自社商品の農業機械を使った草刈り作業も行い、集めた草は堆肥づくりに役立てている。社屋の周りにネットを張ってアサガオなどを育てる緑化活動も担当だ。「阿部さんが高所作業機を使いこなす様子は、会社のPR動画でも紹介しています」と森田さん。機械の扱いに慣れてきた阿部さんは、除雪機のメンテナンスができるよう勉強中だ。ちなみに天候の悪い日や冬場などは、拠点としている平屋の建物内で、部品のピッキング・袋詰め作業などを行っている。阿部さんと一緒に働く精神障害のある んい 8した。高校卒業後に電気工事会社に就職したが、1カ月半後の新人研修中に体調を崩し、復帰と休職をくり返して1年後に退職。通院しながら工場で働き始めたものの、人間関係や現場の臭いに悩まされ再び離職したという。それから家族にすすめられ、Aさんは新潟障害者職業センターに通った。ピッキング作業のほかデータ入力など事務的なスキルを3カ月間学んだあと、同センターから紹介されたフジイコーポレーションの職場実習を、1週間受けた。「ここで初めて園芸や農業にかかわって、よい感触を得られました」と話すAさん。自分のペースで作業ができることや、体調が悪くなったときに遠慮なく申し出るシャトル業務から野菜づくりまで体を動かし、健康管理に努める園芸作業の一コマ。畑に肥料を散布するシャトル業務の様子。部品が収められたカートをトラックに積み込む外壁を長年おおっていた雑草(左)をキレイに取り除いた(右)(写真提供:フジイコーポレーション株式会社)緑化作業・園芸作業などを担当するAさん社屋の壁面に設けられたグリーンカーテン(写真提供:フジイコーポレーション株式会社)20代の男性Aさんは、2021年に入社働く広場 2023.7
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