素材:木/サイズ(ピンクの車):長さ約310mm×幅約90mm×高さ約120mm、サイズ(青い車):長さ約250mm×幅約85mm×高さ約100mm(文:社会福祉法人太陽会 しょうぶ学園 相良望人)(しょうぶ学園)協力:社会福祉法人太陽会 しょうぶ学園 木工房へ向かうと、工房の入り口から笑顔で迎える彼の立ち姿がいつもある。ハグのあいさつを交わすと自分のテーブルに向かい作業が始まる。 以前、車の雑誌を見て、器の材料を車の形へと彫刻し始め、できあがったのが車のオブジェ。なかでもお気に入りの車は「バス」。大胆な彫りの窓やフォルムは歪■■■なはずなのに、自然とまとまりのある車へと変化していく。 迷いのない配色で完成した車たちは、彼のやさしく、おだやかで人なつっこい性格そのもののように感じる。仕上がると誇らしげな顔で手招きをし、雑誌の車と作品を見合わせる。そして、「よしよし」といった感じでうなずき、棚へ一つ、また一つと並べていく。吉井 一広(よしい・かずひろ) 1948(昭和23)年生まれ、1988年しょうぶ学園へ入所。 現在、同園グループホームにて生活し、日中は木工房で活動している。 聴覚障害があるため、職員とは手話やジェスチャーにて会話を行う。作業内容を伝えるとすぐに理解し、予測して必要な道具を準備するなど手伝ってくれる。時折見せるジェスチャーのジョークは場を和ませている。工房ではおもに長年つちかった技術で鑿■■と木■■■■を使い、大胆な彫りで器やカトラリーの制作を行っているが、2021(令和3)年より好きな車をモチーフとするオブジェの制作が始まった。吉井 一広車
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