働く広場2023年7月号
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編集委員のひとこと第25回有限会社まるみ取締役社長 三鴨岐子本紹介※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は三鴨委員が執筆しています。ご一読ください。H■e■artに開所した。運営は聴覚障害者の支援などに取り組む「株式会社D■eaf」(柏崎市)で、ノーマライゼーションの理念を実現した施設を目ざす。施設は2019(平成31)年3月に閉鎖された認知症高齢者グループホームの未利用施設を改装した、木造平屋建て約660㎡。定員19人で、手話のできる職員や耳の不自由な職員らが対応する。視覚障害者の歩行支援アプリベンチャー企業「株式会社コンピュータサイエンス研究所」(北九州市)などが、視覚障害者歩行支援アプリ「E■y■eN■avi」の無償提供を開始した。アプリは、GPS(衛星利用測位システム)とAI(人工知能)により歩行者や車止めなどの障害物や歩行者信号の色などを音声で知らせる。また目的地までの経路の概要、交差点の有無、施設の情報などを事前に確認でき、自宅や目的地の登録が可能。自動車のドライブレコーダーのように、歩行時の映像を自動で保存する機能も搭載している。『「良かったこと探し」から始めるアクセシブル社会 障害のある人の日常からヒントを探る』公益財団法人共用品推進機構の専務理事を務める星■川■安■之■さんの『「良かったこと探し」から始めるアクセシブル社会 ヒントを探る』(小学館刊)が出版された。同機構は1999(平成11)年に設立され、2012年に公益財団法人化した。共用品・共用サービスの開発と普及のために多角的な活動を行い、活動成果を情報発信している。これまで障害者に対し、日常生活で感じている「不便なモノやコト」、「良かったモノやコト」について行った調査のなかで寄せられた多くの声を紹介。その結果として、シャンプー・リンス・アルコール飲料などの触覚記号(容器のギザギザ)などが導入されてきた経緯なども伝えながら、「共生社会」の実現に向けてできることを考える。四六判160ページ、1760円(税込)。https//eyenavi.jp障害のある人の日常から長い間、画一的であることがよしとされてきた日本社会でしたが、表面上だけでなく本当の意味で個性的な人やその活動が、評価されるようになってきました。個人だけではなく企業もそうで、以前は売上・利益至上主義ではない会社は存在意義を疑われましたが、最近は別の目的を掲げる会社も珍しくなくなりました。今回取材した有限会社ねば塾は、そのなかでもかなり個性的な企業でした。社員の能力開発を考えたときに、きちんとした目標設定と、到達までの道筋を示した方がよい人もいれば、示した途端に、その職場が嫌になる人もいます。どちらが正しいかはその人次第、ということなのでしょう。ねば塾は「機会を与えて自然にまかせる方針」でした。ねば塾がつくりだす「自然体でいてもよい雰囲気」は、社長をはじめとする障害のない社員たちが準備していることは間違いありませんが、そこに支援者・被支援者の区別は色濃くはありません。社員みんながとても自然体でした。障害の有無に関係なく、人はだれでも自分の感じ方・考え方があり、それを相手と分かち合えないとストレスを感じます。そのストレスこそが、仕事がうまく回らない原因だと、笠原道智社長は力を込めて話していました。個性的であることは素晴らしいとわかりつつも、相手の個性と自分の考え方との折り合いをつけることに、私たちはまだまだ慣れていません。自分と違う相手を認められない、ときには嫌だとさえ感じる心の動きは、いったいどんな理由から生まれるのか。そしてそれをどう消化すればよいのか。個性的な人たちを上手に束ね、どんな状況でも自然体で笑顔で乗り切る道智社長の頭の中に、そのヒントが詰まっているような気がしました。相手の個性を大事にできる自分になるために福岡  ■■■■: ■ ■■      ミニコラム 働く広場 2023.731

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