働く広場2023年7月号
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POINT123ょう条じ地域。ここで農業機械や除雪機の製造洋食器や金物・刃物などが特産の「ものづくりのまち」で知られる新潟県燕つ三さ販売を行っている「フジイコーポレーション株式会社」(以下、「フジイコーポレーション」)は、1865(慶応元)年に"千せ歯ば"(※)の生産を始めて以来、創業158年になる老舗企業だ。近年は除雪機などの海外展開も活発で、2007(平成19)年には北欧フィンランドにある"サンタクロース村"から、フジイコーポレーションの機械がサンタクロースの除雪機として公認を受けた。そして現在、19カ国に輸出実績がある。これまで商品・技術開発などの受賞歴を重ねてきた一方、高齢者や外国人、女性社員の活躍推進にも力を入れてきたフジイコーポレーションは、2014年に経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」(以下、「ダイバーシティ100選」)に選ばれた。そして同年から障害者雇用も推進し、いまでは全従業員124人のうち障害のある従業員が6人(身体障害2人、知的障害1人、精神障害3ばめ人)、障害者雇用率は4・84%(2022︿令和4﹀年7月1日現在)だという。どのように障害者雇用に取り組んできたのかを、当事者や支援者の声とともに紹介していきたい。 「フジイコーポレーションが障害者雇用に本腰を入れることになった大きなきっかけは『ダイバーシティ100選』の受賞でした」と説明してくれたのは、総務部広報・システム管理の森も田た理り恵えさん。 「ダイバーシティ経営」が注目される以前からフジイコーポレーションでは、幅広い人材が働きやすいよう改善を進めてきた。まず、社内のトイレなど衛生面を含めた職場環境を整えた結果、2008年に女性社員が初めて入社。それから年々増えていった女性社員が中心となって、ホームページの刷新や英語版作成、小型農機の商品開発などに力を発揮している。2010年には定年後の再雇用の上限年齢を65歳から70歳に引き上げると同時に、製造現場で使う重い工具は天井から吊るし、荷台はすべてキャスターつきに変更、床の段差もなくすなどの設備改善を行った。また、2013年にはバングラデシュ人の留学生を正社員として採用した。この社員は商品開発部に所属し、電気設備の開発・設計などを担当している。互いに宗教や文化の違いなどを理解しながら、働いているという。その末に受賞したのが「ダイバーシティ100選」だった。しかし、森田さんによると、藤ふ井い大だ介す代表取締役が受賞当時、ダイバーシティの一つである障害者雇用において、身体障害以外の障害のある人の雇用が、あまり進んでいないことに気づいたという。そしてさっそく、社内で取り組むための担当者などを選定し、社内の会議で「職場は、社会の縮図でもあるのだから、障害のある人もない人も一緒に働ける環境をつくっていこう」と宣言したそうだ。初めて本格的な障害者雇用に取り組み 5 じいけり んん  農業機械や除雪機の老舗メーカーダイバーシティ100選受賞を機にモデル事業の受託フジイコーポレーション株式会社が総務部広報・システム管理の※千歯:日本の古式脱穀用農具開発製造販売する除雪機森田理恵さん働く広場 2023.7ダイバーシティ経営を目ざす代表取締役の音頭で、雇用促進モデル事業を受託し本格的に取り組む支援担当社員をフォローするため、定期的にカウンセラー派遣を利用社有地などを活用し、園芸・農作業でも業務マッチング

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