3 ■ ■■■今回は、神奈川県川崎市にある二つの企業について取りあげた。川崎市は障害者雇用に関して、例えば、「K−STEP(川崎就労定着プログラム)」という、セルフケアを実践しながら就労定着を図るためのプログラムの手法の普及を図っているなど、先進的な取組みが行われていることで知られている。まず株式会社スタックス(以下、「スタックス」)を訪問した。私は、2022(令和4)年11月に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)障害者職業総合センター主催の「第30回職業リハビリテーション研究・実践発表会」で、パネルディスカッション「『同僚』のちょっとした理解とサポートが力になる 〜障害のある従業員が働きやすい職野■佳■史■さんと一緒に登壇した。そのご縁■■場づくりについて〜」(※1)に、今回訪問したスタックスの代表取締役社長の星■をきっかけとして、今回、訪問をさせていただいたのである。スタックスは障害者雇用の取組みについて、先述のパネルディスカッションやインターネットなどの媒体に何度か登場されているが、まずは会社の基本的情報を紹介したい。・事業内容としては製造業(精密板金業)であり、人工衛星やロケットなどの部品や医療機器筐■体■などの製造を行っている。・今回訪問した川崎本社のほか、国内2カ所に拠点があり、従業員数は54人。うち3人の障害のある従業員を川崎本社にて雇用している。障害種別は、知的障害、精神障害、身体障害(高次脳機能障害もある)である(2023年6月現在)。・前社長(現会長)の「社会貢献をしたい」という思いから、障害者雇用の取組みが始まった。・現在雇用されている障害のある従業員のうち2人は、当初週10時間程度の短時間雇用から始まり、現在は各従業員の状況により勤務時間の延長がなされている。・障害のある従業員が従事している業務は、部品の検査や組立てなどである。・もともとは、仕事を「緊急性」、「重要性」の2軸でとらえて、「緊急ではないものの重要」という仕事を切り出して障害のある従業員に担当してもらっていた。その後、雇用している障害のある従業員の業務の幅はさらに増えている。以上のような情報を把握していたものの、・どのように障害者雇用が始まり、さらには雇用管理のノウハウが入っていったのか・短時間雇用から始めたとのことだが、どのように勤務時間を延ばしていったのかということについて把握したいと考え取材に臨んだ。会社を訪問し、まずは星野さんからお話をうかがった。お話ではさまざまな内容に触れていただいたが、ここでは特に筆者が要点だと感じた二つのことについて記したい。株式会社スタックスを訪問して訪問してわかったことPOINT12(写真提供:株式会社スタックス)株式会社スタックス川崎本社株式会社スタックス代表取締役社長の星野佳史さん※1 JEEDホームページでご覧になれます。https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/30kaisai/panel1.html 働く広場 2023.8就労支援機関や地域の団体との出会い・つながり勤務時間の延長や支援ツールの導入・実行をするうえでの就労支援機関との連携障害のある従業員の意識や気持ちを、会社としてきちんと把握する21
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