働く広場2023年8月号
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小まとめ①セルフケアツール「K■STEP」の導入について専門性を高めていくことにも少し興味を持っています」と話してくれた。お話をうかがった後、作業場を見学させていただいた。会社の事務所の奥が作業場となっており、各個人がそれぞれ作業に従事するスペースが設けられている。町工場という雰囲気はあるが、プレス機などは別の工場にあるため、川崎本社の作業場は機械音などのない場所である。そこで働く知的障害のあるBさん(20代)に、「ノギス」を使用して部品の寸法を計測する検査の様子などを見せていただいた。Bさんはたいへん手慣れており、また、快活に取材に対応していただいた。スタックスは、中小企業に分類され、障害者法定雇用率でいえば1人の雇用義務があるが、「単に雇用すればよい」ということではなく、会社として必要な業務を障害のある従業員が担当していること(戦力化していること)、また必要な配慮を行いつつも、自然な形で障害のある従業員の気持ちやその周囲の従業員の気持ち(勤務時間の延長などについて)と寄り添いながら業務を進めているのが印象的であった。社長のフットワークのよさ、中小企業ならではの小回りが利くことに加えて、地域の団体とかかわり、市や支援機関との連携も、現状を支える重要な要素だと感じた。続いて、株式会社湘南ゼミナールオーシャン(以下、「湘南ゼミナールオーシャン」)の宮崎台事業所を訪問した。湘南ゼミナールオーシャンは学習塾運営などを行っている株式会社湘南ゼミナールの100%出資の子会社として2012(平成24)年に設立され、2013年には特例子会社として認可されている。また、特に精神障害のある方を中心に積極的に雇用を進めているのが特徴的であるといえ、従業員数28人中、精神障害者20人(2023年1月現在)となっている。業務としては、設立当初はシュレッダー作業のみだったが、いまではデータ入力や名刺印刷、動画作成、学習塾の教材資料作成支援なども行っている。湘南ゼミナールオーシャンも、先述の  ■■■■         優秀賞を受賞している。加えて、本誌のスタックス同様、各種のメディアで取りあげられている。またJEEDの「平成2019年11月号「職場ルポ」(※3)でも取りあげており、そこでは「チャンスノート」、「ありがとうカード」、「K−STEPシート」といったツールを使い、従業員を戦力化するために職場でさまざまな工夫を行っていることが紹介されている。以上のような、特に精神障害のある人を多く雇用しているなかで優れた取組みを行っていることが把握できたが、・会社での雇用管理としてさまざまな手法が導入・実行され効果をあげているが、これらの導入・実行に就労支援機関とのかかわりは関係するのか。・これらのツールは職場定着のうえで、どのような意義があるのか。といったことをうかがいたいと考え取材に臨んだ。まず、湘南ゼミナールオーシャン宮崎台事業所所長の前■山■光■憲■さんからお話をうかがった。ここでも紙幅の都合上、うかがったなかで特に筆者が要点だと感じた二つのことについて記したい。以前、前山さんが合理的配慮についてのセミナーに参加した際に、ある就労移行支援事業所の修了生らが夜7時くらい湘南ゼミナールオーシャン宮崎台事業所を訪問して訪問してわかったこと湘南ゼミナールオーシャン宮崎台事業所所長の前山光憲さん※3  JEEDホームページでご覧になれます。https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_201911/html5.html#page=7 Bさんは、部品の検査工程を担当している30年度障害者雇用職場改善好事例」では、働く広場 2023.823

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