働く広場2023年8月号
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小まとめ 「ここで働いて11年目となります。現在、名刺印刷を担当しています。塾の先生などの名刺を印刷し、郵便で発送しています。仕事は一通りやらせていただいています。家庭の事情などでこれまで体調を崩すこともありましたが、現在は週5日働いています。名刺については塾の先生のお手元に届く商品になりますので、手書きのメッセージカードをつけたりしています。名刺を使っていただいた方にはうちのファンになっていただければと思っています。今後は、既存の仕事をさらにきちんとできるよう極めたいと思います」次に、羽■賀■義■成■さん(51歳)が話してくれた。 「入塾を申し込んだ方のデータの管理や資料の発送などを行っています。3年くらい担当しています。朝が苦手なことがありましたが、現在は出勤・退勤時間を配慮してもらっており、生活リズム的に合うようになりました。以前、チームメンバーでミスが発生したことがあって、そういったミスを今後防ぐにはチームとしてどうしたらよいのかをみんなで考えて、実行しています。そうしたことにやりがいを感じています」以上のように、湘南ゼミナールオーシャンでは、セルフケアなどの優れた定着支援の実践が行われている。湘南ゼミナールオーシャンの親会社は学習塾を経営している会社であり、教育業である。そのため「人を育てる」という意識がもともと組織風土としてあり、障害のある従業員についても育てていくという意識を会社が持ちやすいということが考えられるかもしれない。ただしそれだけではなく、本来の「職業リハビリテーション」を会社の立場から実践しているとも感じた。「就労支援」という言葉ではなく「職業リハビリテーション」という言葉を使用することは、トラブルシューティング・問題解決をするだけではなく、「人を育てていく」という予防的・開発的側面が強調されるといえるのではないだろうか。またこのことは、今回強調されていた「セルフケア」(もちろんすべてセルフケアでカバーできるわけではなくサポートが必要な場合もある)とも通底するし、このような考え方もぜひ、さまざまな会社、支援者に普及するとよいと感じた。そして、スタックスとも共通するが、    ■■  れた実践を下支えしていると考えられた。就労移行支援事業所や市、障害者地域就労援助センターなどとの連携も、この優このような定着支援の実践には、熱量のある支援者・関係者との「出会い」も大いに関係していることがうかがえた。今回、二つの会社を訪問させていただいた。一つは小規模の企業であり、もう一つは特例子会社である。つまり障害者雇用という観点から見て、属性上は対照的であると思われるかもしれない。それでも二社に共通することは「障害のある従業員の意識や気持ちをきちんと把握すること」や「就労支援機関との連携が重要な意味を持っていること」があげられるように思う。なお、前者に関係するが、障害のある従業員の気持ちを尊重するものの、製品や仕事への姿勢がいい加減なものは許さないということも、大前提として指摘できよう。一方、後者については単に就労支援機関と連携をするというだけでなく、「熱量」のある支援者との出会いも重要な要素であるように感じた。そうすると、就労支援者側から見て、今回のような会社とのかかわりはどう考えるのかなどについても気になるところであるが、これは今後の課題としたい。おわりに資料の発送準備を行っていた羽賀義成さんは、オープンスペースでは、さまざまな作業が行われていた働く広場 2023.825

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