『障害から始まるイノベーションニーズをシーズにとらえ直す障害学入門』九州大学の田■中■真■理■教授や横■田■晋■務■准教授ら28人による共著『障害から始まるイノベーションニーズをシーズにとらえ直す障害学入門』(北大路書房刊)が出版された。アクセシビリティを高める支援技術を解説し、福祉社会学や工学などさまざまな専門分野からみたユニバーサルデザインの研究知見を紹介。D&Iを社会的課題にとどめず、イノベーションにつなげる実践のヒントを提供する。テーマを「障害の社会モデル(「障害」とは何か)」、「社会的バリア」、「アクセシビリティ向上のための支援技術」、「専門分野からみたユニバーサルデザインと学際知(福祉社会学からみたユニバーサルデザイン)」の四つに分け、全22章で構成。A5判208ページ、2970円(税込)。編集委員のひとこと第26回常磐大学准教授 若林功本紹介※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は若林委員が執筆しています。ご一読ください。今回の「編集委員が行く」では、川崎市にある「株式会社スタックス」と「株式会社湘南ゼミナールオーシャン宮崎台事業所」を訪問させていただいた。それぞれ、障害のある社員についての就労定着を目ざした企業として素晴らしい実践を行っておられた。そして、そのようなノウハウの導入や、そもそもの姿勢として障害者雇用に積極的に取り組んでおられる要因として、取材はできなかったものの、自治体や就労支援機関の職員の方々の存在や、おそらくそれらの職員が持っておられる専門性と熱意が大いに関係していると感じた。特に私としては、関係者の方々の「熱意」に注目したい。おそらく「熱意」は伝搬・伝染し、障害のある方を雇用している、あるいは雇用しようとしている企業の方々にも、「こうするとよい」といった情報だけでない、モチベーションのような、何か伝わるものがあったのではないかと考える。また、さらにお話をうかがうなかで、「雇用管理や定着支援の情報を得たい」という気持ちを持って活動された企業の方と、就労支援にたずさわる関係者の「出会い」も、障害者雇用を進めるうえでの大事な要素となっているのではないかと感じた。ところで、一応私も研究者の端くれであるが、なかなかこのような「熱意の伝搬」や「出会い」というものは、研究対象となりにくいと考える。しかし、このような研究の俎■上■に載せにくいものの重要な要素を、何とか扱ってみたいと夢想している。一方、研究の俎上に載せるということは、知識・情報の明確化を目ざすということになる。試行錯誤的に行われてきたことが明確化され、マニュアル化されることにもつながるだろう。そしてマニュアルを見て、企業を含む後継の就労支援関係者が「こういうふうにやってさえいればいいんだ」ととらえてしまうことにより、標準化はされるが、何か大事なものが失われるということになるのかもしれない(考えずにマニュアル通り実施してしまう、想定外のことが発生した場合の解決力など)。研究として曖昧な現象を扱い、明確化していくということには、このようなジレンマもありそうだが、障害者雇用・就労という当分野の発展には、そうしたステップが必要とも感じる。■■■■研究の俎■上■に載せにくくも大事なこと、そしてジレンマ ■■■ ミニコラムマスコットキャラクターアビリンピック徳島働く広場 2023.8岩手県、新潟県、山梨県、徳島県* 開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります* は開催終了※全国アビリンピックは 11月17日(金)〜11月19日(日)に、 愛知県で開催されます。地方アビリンピック検索※日程や会場については、変更となる場合があります。岩手新潟山梨2023年度地方アビリンピック開催予定7月末〜9月31
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