働く広場2023年8月号
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じめず、就労移行支援事業所を経て2016年に入社した。いまの仕事について聞くと「箱を破損させずに積み上げることと、スピードのバランスを取るのがむずかしい」と明かす。完璧さを求めるあまり、一度積み上げたものを最初からやり直すこともあるようだ。センター長の堤つ貴た裕ひさんは、「何より大事なのはミスなく確実に仕分けること。中間さんは自身の課題も自覚しながら真面目に取り組んでいます」とつけ加えた。中間さんも、「何ごともあきらめずスキルアップしていきたいです」と意欲を語ってくれた。次に向かったのは、平均温度8℃のチルド室。ここでは「ハンディターミナル」と呼ばれる携帯端末を使った店舗向けの仕分け作業が行われていた。端末で商品のバーコードを読み取り、自動的にどのつみ店舗に何箱配るかがわかる仕組みだ。多くの従業員と一緒にせわしなく仕分け作業をしていたのは、西に田だ夏か寿ず真まさん(23歳)。以前は農業関連の仕事に就いていたが経営悪化などで続けられなくなり、就労移行支援事業所の紹介で2020年に入社した。初めてのピッキング作業で、当初は商品の箱を落としてしまう失敗もしたという。西田さんは「急ぐと頭が混乱するので、冷静さを心がけています」と話すが、堤さんは「いまはミスもほぼありません。確実に戦力になっていますから、ほかの業務にも挑戦していってほしいですね」とはっぱをかける。少し離れた場所では、約5年前に導入西に村む亘こ平へさん(22歳)は、特別支援学校した、手に装着するタイプの小型機器「ボイスピッキング」が使われていた。これは、バーコードを読み取ることで、そろえる商品の種類や個数などを自動的に音声で知らせてくれるシステムだそうだ。「音声で指示され、両手が空くため作業効率と確実性が上がります」と堤さん。音声を聞き慣れた従業員は、機器からの自動音声を4倍速で流しているそうだ。ここでテキパキと仕分けを進めていたの先生からすすめられ、実習を経て2019年に入社した。ボイスピッキング操作にも慣れ、「いかに効率よく箱を積み入れるかを考えています。かごの中にピタッとはまると小さな達成感もあります」と笑顔を見せる。また「自分は仕事をパッと覚えられるタイプではなく心配性なので、気になることはすぐに聞くのですが、いつもていねいに教えてもらえるので安心です」と話してくれた。堤さんも「若いだけにデジタル機器への苦手意識がなく、今後の成長も楽しみです」と期待する。あらためて、松橋物流センター全体で3分の1を占める障害のある従業員について、堤さんはこう話す。 「障害のある20人の従業員は、現場にいてもらわないと困る存在です。ただ、商品のバーコードを読み取る西田さんハンディターミナルで西村さんはボイスピッキングでの仕分けを担当している松橋物流センターで働く西田夏寿真さん松橋物流センターで働く西村亘平さん松橋物流センターセンター長の堤貴裕さん野菜の仕分け作業を行う中間さんチルド室では、多くの従業員が仕分け作業を行っていた働く広場 2023.8  かろ  しういら  し6

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