働く広場2023年9月号
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えもしっかりしていたことがよかったと思います。洗車については、何といってもお客さんのもとに納車する自動車ですから、時間よりも出来映えを大事にするようアドバイスしました」と語る。続けて、佐藤さんは「いまでは、次にすべき作業を考えて自主的に行動するなど、すばらしい成長ぶりです。彼の働きのおかげで、私たちも本来の整備の仕事に力を注ぐことができ、ほんとうに助かっています」。さらに木村さんが今後、整備士を目ざすようになったら「現場のみんなでいろいろ教えて応援してあげたいですね」と激励していた。社内には、実際に国家資格取得のための勉強などを始めている従業員もいる。県南の店舗で働く障害のある従業員は、洗車担当を務めながら補助業務としてタイヤ取りつけ、エンジンオイルやフィルターの交換作業なども任されるようになった。いまは本人の希望で「自動車整備士三級」の取得を目ざし、必要な実務経験を現場で積みながら勉強中だ。そして、本社1階にある部品物流部の現場も見学した。ここは自動車の修理などに必要な部品を調達し、配送する拠点となっている。全国各地の部品メーカーや工場から送られてきた部品を検品して棚に整理しておき、依頼に応じて配送準備を行っている。毎朝8時ごろに各地からトラックが到着して部品が運び込まれ、当日のうちに300点ほどの部品を県内各地に配送するほか、仕分けや検品、ラベリングなどを行っている。部品グループの倉庫リーダーを務めている福ふ田だ庄し悟ごさん(55歳)は、脳性まひによる身体障害がある。以前は製麺会社に勤務していたが、職場になじめず退職。あらためてハローワークを経由し、2007年に秋田ダイハツに入社したそうだ。当初から部品を扱う現場に配属され、「さまざまな業者さんから納品される専門的な部品がとても多く、名前を覚えるのに苦労した」そうだが、「休職中に通ったパソコンスクールで学んだエクセルを駆使して、部品や業者の名前を表にまとめて覚えやすくしました」とふり返る。5年ほど前にリーダーになってからは、同僚に仕事を割りふる役目や、業務の責任も負うようになった。日ごろから心がけていることを聞くと、こう話してくれた。 「どの部署にも通じることかもしれませんが、あくまでもエンドユーザーのために仕事をしているという自覚を持って臨んでいます。私たちの部署では、ここの部品を修理工場などに送り出しますが、その先には車を修理してもらっているお客さまがいます。ここでもし間違った部品が届いたり、遅れてしまったりすることがあれば、そのしわ寄せはお客さまにいきますから」ょうエンドユーザーのために働く広場 2023.9    く 8「ダイハツ部品士検定三級」の賞状をもつ福田さん本社の1階が部品物流部の拠点となっている倉庫内で仕分けや検品を担当する福田庄悟さん

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