働く広場2023年9月号
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きるのは、この仕事の喜びでもありますね。者雇用の業務には、この仕事ならでは三鴨 三鴨 人の成長を肌で感じることがでやりがいを感じる一方で、障害の苦労もあると思います。どのようなことに悩んでいますか?き合う仕事なので、「これが正解」という答えがありません。特に、社員数が増えるほど、問題も多様化しており、どのように対応したらよいのか悩むような状況がたくさん出てきます。Aさん 定着支援というのは、人と向Bさん Cさん 会社からは、早い解決や改善を期待されますが、状況によってはご本人の体調やモチベーションなどをみながら、年単位でのプロセスが必要な場合もあります。定着支援ではスモールステップがとても大切ですが、時間がかかるので、そのプロセスを周囲と共有して取り組んでいくことが重要になります。 障害者雇用では、想定どおりにいかないことや、予期せぬ状況が日常的に起こります。ですから、そうしたイレギュラーな状況を前提に、業務を構築する必要があります。かくいう私自身も、着任したばかりのころは、「物事がスムーズに進まないのがあたり前」という理解が足りずに、たいへんな思いをしました。一方で、長く担当を続けていくと、    考え方などのズレが生じてしまうこと障害者雇用になじみのない人たちとの間に、障害者雇用についての認識や、障害のある人への支援や配慮に対するがあります。だからこそ、「障害者雇用をよく知らない人だったらどのように考えるか」という視点も忘れないように心がけています。弊社には、複数の事業所があり、それぞれで障害のある社員が働いています。そのため、全員の様子や日々の活動を細かく把握しきれないことが悩みです。かといって、各職場での支援者から詳細に情報を共有してもらうのも、現場の負担を増やすのではないかと気がかりです。グループ全体の障害者雇用をまとめる立場ではありますが、どのようなサポートをしたらよいのかと悩むことも多いです。障害者雇用の業務は、人の成長に向き合える喜びがある仕事ですが、多様な特性を持つ一人ひとりと、時間をかけて向き合い続ける忍耐力が必要な仕事でもあります。また、「こうあるべき」という考えにとらわれずに、柔軟な考え方をすることが求められる仕事なのかもしれませんね。*  *  次回は後編として、今回ご登場いただいたみなさんに、業務の課題を解決するために工夫されている点や、これから障害者雇用に取り組む企業の方、新たに担当になった方へのアドバイスなどをうかがいます。三鴨   *  *  *  知りたい!障害者雇用担当者の悩みとは?●採用活動:社内で求められる人材要件を把握し、求人募集や面接などを通じて、障害のある社員を採用します。就労支援機関やハローワークなどと連携して行う場合もあります。●雇用管理:障害者雇用促進法などの法令を遵守し、雇用形態や労働条件(給与・福利厚生など)を決定して、契約書や社会保険の手続き・管理を行います。●業務の創出:障害のある社員の特性や能力に応じ、担当できる業務を社内から洗い出し、業務内容やプロセス、マニュアルなどの設計を現場の同僚やジョブコーチと連携して行います。●職場環境の整備:障害のある社員が安全・快適に働けるように、設備や機器などの物理的な環境の整備、通勤や休憩時間への配慮などを行います。就労支援機関と連携して行う場合もあります。●ほかの社員とのコミュニケーションの促進:障害のある社員とほかの社員が相互に理解し協力する体制をつくれるよう、研修や交流会を開催したり、両者間に生じた問題などの相談に応じたりします。働く広場 2023.9 障害者雇用担当者は、障害のある社員が力を発揮して働けるようにサポートしますが、その役割は多岐にわたります。11企業における 障害者雇用 担当者の役割

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