働く広場2023年9月号
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について取り上げています。ここで読者のみなさんにも、「同時に注意を向ける力」の体験をしていただきます。左の問題の「偶数で40以下の数字」に〇をつけてください。左上から始めて、右の方へ順に進めます。1行終えたら、下の行をまた左から右へ行います。同時に注意を向ける体験なので、40以下の数字をひろってから偶数を選ぶのではなく、同時に2つの条件を満たす数字を見つけてください。(解答はこのページの左下にあります)みなさん、体験してみてどのような感想を持たれましたか?体験ワークを実施すると、どうしても正解不正解が気になってしまいますが、ここでは注意の機能がそれぞれどのようなものであるかを体験し、理解することが目的です。グループワークの中でも、受講者が体験を通して気づいたことを大切にしています。また、プチトレーニングは、「切りかえる力」に関する課題です。課題の1つは、「〇月〇日の〇時にスタッフに好きな曲について教えてください」等、指示した日時に受講者から支援者に伝えてもらいます。もう1つは、日時を伝えずに、支援者から受講者に質問する課題で、「指定された日時以外に、こちらから声をかけることがありますので、質問されたら答えてください」と伝えておきます。どちらも、作業の途中などで切りかえて対応できるかを確認しています。注意を妨げる要因について、内的環境(感情・体調・興味など)と外的環境について説明します。 「整った環境(静かで整理整頓してある環境)」で課題に取り組んだときと、視覚的に「散らかっている環境」や聴覚的に「雑談が聞こえる環境」で課題に取り組んだときを比較して、自分の注意にどのような影響が生じるかを確認してもらいます。自分の注意の機能を発揮しやすい環境について、気づくための回です。ノイズキャンセリングヘッドホンやルーペ、パーテーションなど、実際に対処するためのツールを体験してもらいます。また、パソコンを使用する際、注意の機能を発揮するために活用可能であるWindows読み上げ機能、画面拡大、ディスプレイ設定、タッチキーボードを体験して、自分にとって有効な方法かを確認してもらいます。第1〜4回までのまとめをしたあと、自分の           (★1)。また、冊子の配注意の特徴についてまとめて発表してもらいます。その後、発表内容について意見交換をして、理解を深めていきます。ることを想定していますが、複数人が集まれない場合は単独で実施することも可能です。 害に対する抵抗感が強い場合などは、体験が中心である第3回や第4回から参加することもできます。障害者や精神障害者も活用可能です。作業検査、質問紙、セルフモニタリング、行動観察等により実施しました。各種検査の結果は、カリキュラムの実施前後で、「注意」の機能そのものが変化したとはいいきれない内容でした。しかし、セルフモニタリングや行動観察の結果からは、自分の注意の特徴を認識し、対処手段を取り入れる姿が見られ、カリキュラムの実施による効果が一定程度あったと考えられました。「注意障害に対する学習カリキュラムの開発」は、障害者職業総合センターホームページに掲載しています付を希望される場合は、下記にご連絡くだ【解答】さい(★2)。カリキュラムはグループワーク形式で実施す第1回の開始に間に合わなかったり、注意障また、「注意」の機能に苦手意識のある発達本支援技法の効果測定は、神経心理学検査、支援マニュアル№24●実施上のポイント●効果測定●おわりに【第3回グループワーク】【第4回グループワーク】【第5回グループワーク】10の標準機能について紹介します。具体的には、働く広場 2023.9出典:中島恵子『みんなでわかる高次脳機能障害 生活を立て直す脳のリハビリ「注意障害」編』(保育社、2012年)★2 障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043https://www.nivr.jeed.go.jp/center/center.html29〔問題〕

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