働く広場2023年9月号
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POINT1231949(昭和24)年創業の「秋田ダイハツ販売株式会社」(以下、「秋田ダイハツ」)は、ダイハツ工業株式会社のカーディーラーとして秋田県内に10カ所の販売拠点がある。車の整備などを含め地域に根ざしたアフターフォローを展開し、軽自動車の販売台数は18年連続県内1位(2022︿令和4﹀年現在)を誇るという。近年は、特別支援学校などと連携した障害者雇用にも力を入れてきた。いまでは各拠点・部署で、障害のある社員は部品の仕分け・配送から洗車や整備補助まで、自動車販売にかかわる多くの業務に従事している。従業員数274人のうち障害のある社員が16人(身体障害7人、知的障害7人、精神障害2人)、障害者雇用率は5・84%(2023年5月末現在)だという。秋田ダイハツは2021年、「障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主」(厚生労働省)として、「もにす認定」を県内で初めて受けた。そこで今回、これまでの経緯と取組みを取材させてもらった。秋田ダイハツが本格的に障害者雇用に取り組み始めた背景には、地方を中心に深刻化しつつある人材不足もあったようだ。管理部部長の仲な澤ざ浩ひ美みさんは、「特に自動車整備士が足りません。県内出身者や県内の専門学校に通う二級整備士の国家資格保持者が減っていて、新卒者を同業他社と取りあうような状況です」と説明する。そんななか秋田ダイハツは2012(平成24)年、秋田市内の特別支援学校から依頼され、授業の一環である就業体験の実習を受け入れた。実習生1人を受け入れた現場の社員たちから、「とてもがんばってくれた」と好感触の声があがったため、翌年本人を採用したという。これを機に、県内各地の特別支援学校と連携しながら、採用を見すえた職場実習に取り組むようになった。具体的には、管理部は各店舗・部署から増員の要望を受けると、その職場に近い特別支援学校に、おもな業務内容などを伝える。学校側は業務への適性や本人の希望などを考慮しながら、実習生を推薦するという流れだ。         5わかろ生徒によっては在学中の3年間に、1回2週間の職場実習を数回経験し、大まかな仕事内容や職場の人間関係に慣れてもらう。受入れ側の社員たちも、本人の人となりや、ある程度の職務能力がわかり、お互いに「一緒に働いていけそうだ」と思えるようになればマッチングの成功だ。 「採用の可否は、現場の声を最優先しています。『自分たちも選考の一端をになった』という意識を持ってもらうことで、入社後の指導や育成にも責任感を持って力を入れてくれます」と説明する仲澤さん。整備士一人ひとりの仕事量が増えるなか、これまで彼らが担当してきた洗車や整備士不足を背景に働く広場 2023.9秋田ダイハツ販売株式会社管理部部長の仲澤浩美さん10拠点で自動車の販売や整備各部署の要望を受けてから、業務内容に合わせた採用を進める特別支援学校と連携し、数回の職場実習で互いのマッチングを重視整備士や部品士などの資格取得に向けた現場支援も

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