村む岡お弘ひ義よさんの特例子会社創業の想い、美み子こさんの紹介で取材をお願いすること株式会社ナリスコスメティックフロンティア(以下、「ナリスコスメティックフロンティア」)の取材には以前、本誌の元編集委員である樋ひ口ぐ克か己みさんが2008(平成20)年に訪れている(※1)。株式会社ナリス化粧品(以下、「ナリス化粧品」)の特例子会社、ナリスコスメティックフロンティアは、1995年に起きた「阪神・淡路大震災」の復興のなか、障害のある人の働く場として2005年8月、神戸市に誕生した。樋口さんの取材では、「美を追求する私たちの商品」と題し、①ナリス化粧品代表取締役社長②各部門で働く社員たちの紹介、③ナリスコスメティックフロンティア取締役工場長のインタビューでまとめられていた。今回は、私が勤務する武む庫こ川が女子大学薬学部健康生命薬科学科客員教授、谷た都とになった。まず、電話でお願いした際に、対応していただいたのはナリスコスメティックフロンティア工場長の大お西に太た郎ろさんだった。突然の電話による取材依頼だったが、谷さんからも事前連絡があったことなどから、快く取材を受けていただいた。 に わ おしうでらつ っうん ちつ ろしから今回の取材では、同社がこの15年間で取り組んできた「障害者雇用」について、障害のある従業員と、会社管理者の方からお話をうかがうことを目的にした。特に前回、樋口さんの取材に応じてくれた5人の従業員たちに、現在の心境やこれまで続けることができた理由などをインタビューすることをお願いした。(1)ロケーション神戸市の中心部は六ろ甲こ山さと大阪湾に挟まれた細長い地形から、戦後六甲山を削って海を埋め立て造成した二つの人工島(ポートアイランド、六甲アイランド)があり、その一つの六甲アイランドに所在している。六甲アイランドには会社、住宅地、店舗、学校のほか、公共施設などがあり、特にファッションに関する施設が多く存在している。ナリスコスメティックフロンティアまでのアクセスは、JR東海道本線住吉駅に直結している神戸新交通六甲アイランド線(六甲ライナー)に乗り換え、「アイランドセンター駅」で下車して歩いて約20分。多くの工場がある工業団地内の一角に、本社工場を構えている。取材当日は、玄関ロビーで大西さん、生産課課長の松ま村む秀ひ雄おさんの出迎えを受け、谷さんとともに会議室に案内された。(2)会社説明取材のために用意されたパワーポイントの資料に沿って、工場長の大西さんから次のような会社説明があった。兵庫県内には特例子会社が24社(神戸市13社)(2022︿令和4﹀年6月1日時点)あり、当社は神戸市内で5番目に設立された。会社設立前に、ナリス化粧品の代表取締役社長である村岡弘義さんが全国の支社を訪問して社員と対話しながら、現在の工場が完成した。その成果は、会社玄関口に設置している「車いす洗浄機」、幅が広い廊下、左利き・はじめに〜取材のきっかけ〜株式会社ナリスコスメティックフロンティアPOINT123株式会社ナリスコスメティックフロンティア※1 当機構(JEED)ホームページの「障害者雇用事例リファレンスサービス」でご覧になれます。 https://www.ref.jeed.go.jp/19/19578.html(左から)工場長の大西太郎さん、生産課課長の松村秀雄さん、武庫川女子大学客員教授の谷都美子さん働く広場 2023.10障害にとらわれず、「人」としての理解が大切可能な限り体験を通して、働く自信と楽しさをともに見つける雇用のなかで、その人の変化や成長を育んでいく21
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