働く広場2023年10月号
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2)、親会社のナリス化粧品は、ナリス右利きの人が使いやすいように分けられているトイレ、さらに工場内の安全面、衛生面に配慮したさまざまな取組みに活かされている。(3)会社概要会社概要についてスライド(資料①)で説明があった。ここで注目すべき点は、障害のある人の雇用率の高さである。障害のある人の法定雇用率は2026年7月までに2・7%に引き上げられるが(※コスメティックフロンティア設立時の2006年にすでに、ナリスコスメティックフロンティアと合わせた障害者雇用率が2・77%、2018年度以降は3%を超え、今年度は3・70%と高い障害者雇用率を維持している。障害者雇用率の高さについてたずねると、「法定雇用率という制度自体に疑問を感じています。障害の有無にかかわらず、社員一人ひとりの働く意欲を大切にして、自立を目ざしてきた結果が数字に出ているだけです」と語る大西さんの言葉には、創業者である村岡弘義さんの想いが受け継がれていることを感じた。また、ナリスコスメティックフロンティアのCクredo(行動指針)(資料②)にも創業者の想いが反映され、障害のある人が安心して長く勤められる職場環境の実現につながっている。(4)体制、業務内容ナリスコスメティックフロンティアの体制は、前回の取材時と比較すると、従業員の数は26人↓50人、障害のある従業員の数も11人↓17人とそれぞれ増えている。工場内の組織は、「生産課」と「品質管理課」があり、業務内容はおもに化粧品、医薬部外品の充じ填て、包装業務となっている(資料③)。新型コロナウイルスの影響で減少していた売上げが、2022年度は2億5800万円まで回復し、2100万円の経常利益を得たことの説明があった。大西さんからは、「特例子会社として利益を上げることは会社全体の貢献につながり、そのことがナリスコスメティックフロンティア従業員全員の自信と意欲に影響している」との説明があり、工場長としての意気込みを感じた。前回の取材から15年が経過し、そのと  ドレ ろきお   ん   か、さらに、どうしてこれまで続けてこきのインタビューに応じてくれた5人の従業員が、この間どのように働いてきたられたのか、お話をうかがうことを編集委員として楽しみにしていた。大西さんにもこの点をご理解いただき、その5人と、最近採用されたニューフェース1人ゅうを加えた6人のインタビューを調整していただいた。(1)工場見学の前の重要な衛生対策会議室を出て工場部門内に入る前に、①感染予防用のユニフォームに着替え、マスク、感染防止キャップをかぶり、②手指消毒、③テープローラーによる衣服のホコリ取り、④エアーシャワーを受け、やっと入ることができた。化粧品は、食品や医薬品と同じように、人に直接触れ、取り込まれる製品であることから、衛生、感染面などの管理がこのように徹底して行われている。「工場(充填室)内は、空気中のごみや微粒子が少ないクリーンルームと考えてください」との大西さんの説明から、化粧品への異物混入や品質汚染のリスク管理の重要性を再認識した。(2)従業員インタビュー●大お脇わ啓ひ嗣しさん(36歳)、肢体不自由(車いすユーザー)。事務室内で、パソコンに向かって事務作業を行っていた。前回の取材時は商品の外観検査とパッケージ梱包を担当していたが、いまは作業工程の段取りづくりを担当している。 「これまでいろいろな部署で働いてきたことがよかったです。その経験を活かして、作業が効率よく進むように工程を組んでいます」と笑顔で話してくれた。社内見学「従業員インタビュー」※2  2023年度は2.3%で据え置き、2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%と、段階的に引き上げられるナリスコスメティックフロンティアは、化粧品などの充填や包装業務をおもな業務としている「車いす洗浄機」を使用する様子トイレは各階に2室。手すりなどが左右異なる配置となっており、利き手に合わせて利用できる車いすに乗ったまま車輪をブラシで洗浄できる車いすの方向転換にも支障がない広い廊下働く広場 2023.1022

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