働く広場2023年10月号
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大脇さんは甲子園球場がある西宮市から電車と六甲ライナーで毎日通勤している。朝は一番に出勤して、会社の門扉を開ける役割もになっている。特別支援学校卒業後、障害者職業能力開発校に通い、そこでナリスコスメティックフロンティアの立ち上げを知り、入社した。これまで長く続けてこられた理由をたずねると、「周りの人の理解と配慮があったからです。理解されているという実感が支えになっています」といい、大脇さんの誠実な人柄や「職業人としての自信、責任感の強さ」を感じた。●汐し見み祐ゆ佳かさん(37歳)、聴覚障害。前回の取材では、粉状のパウダーをプお     に レス機と呼ばれる機械で圧縮させ容器に詰める作業を担当していた。汐見さんは今年の4月から充填室に異動。ここは、3人の従業員(聴覚障害)が工場内で使われている機械の部品洗浄、洗浄後の組立てを行っている。職場内のコミュニケーションについてたずねると、3人は手話でコミュニケーションを取っているが、ほかの人はマスクをしているので口唇が読み取れず、スマートフォンの文字変換アプリやメモパッドによるノートテイクでコミュニケーションを図っているという。これまでのことをたずねると、「ナリスコスメティックフロンティアに就職して、仕事を覚え、結婚、出産とあっという間に15年が経ちました」という。現在は2人のお子さんを育てながら働いている。長く続けてこられた理由をたずねると、「一人ひとりの個性や適性を考えてくれていること。それが支えになっています」と話してくれた。汐見さんはこれまで「機械」の知識や経験があったわけではなく、「機械の洗浄や組立て」は初めての経験で、作業を覚えていくなかで少しずつできるようになり、「こんなこともできるんだ」と新たな自分の発見があったようだ。また、インタビューでは、「仕事と家事・育児はたいへんですが、現在も仕事が続けられるのは夫の理解と協力のおかげです」と感謝の言葉も添えられた。●羽は溪た裕ひさん(41歳)、知的障害。羽溪さんは働くことが大好きで、学校卒業前からハローワークや就労支援事業所などを自ら訪ねていたそうだ。相談窓口の担当者からナリスコスメティックフロンティアを紹介され、迷うことなく就職したが、15年間は一生懸命の毎日だったという。現在も前回の取材時と同じ仕上げ工程部門を担当している。ベルトコンベアー上を1分間に15個から40個流れてくる製品の梱包作業をていねいに行っていた。羽溪さんのモットーは「根気よくがんばる」、「注意されたら間違いをくり返さない」。 「自分のことをみんながわかってくれろし部品洗浄や組立てを担当する汐見祐佳さん製品の梱包作業を行う羽溪裕さん大脇啓嗣さんは、パソコンで作業工程の段取りづくりを担当している資料③資料②資料① (資料①〜③提供:株式会社ナリスコスメティックフロンティア)働く広場 2023.1023

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