●東と條じ隆た正まさん(41歳)、知的障害。ているので、仕事が楽しい」、これが現在も仕事を続けられている理由だと本人は話す。また、羽溪さんはダイエットが目的で始めたマラソンを、ずっと続けている。関西圏で開催される大阪マラソン、京都マラソンのフルマラソンに参加するほどの実力者。これからも可能なかぎり、大好きな仕事と「走る楽しみ」を続けてほしい。東條さんは、奈良県内のハローワークの紹介でナリスコスメティックフロンティアに就職した。仕事内容は、現在も仕上げ工程を担当している。ベルトコンベアーで運ばれてくる製品の点検や梱包をする際に、製品を自分の指でさしながら確認し、声を出してケースの中に収めていく。 「今日はいつもより張り切ってるね」と、周りの従業員さんの励ましに少し照れながらも、はつらつと仕事をこなしていた。これまで長く続けてこられた理由をたずねると、「いろいろな作業を経験したことで自分が成長できたと思います」という。どんな成長があったかたずねると、「それはですね、初めての作業は緊張するけど、続けていくとだんだんと好きになります。好きになると、一人でできるようになるんです」と話してくれた。さらに、東條さんのモットーとして「任された仕ょう●沖お賢け次じさん(54歳)、肢体不自由(車事は失敗しない」があり、そのひたむきさで製品を直角・水平にキッチリと配置する彼の仕事ぶりは、ほかの従業員から大きな信頼を得ている。いすユーザー)。前回の取材時と同じ「品質管理課」で品質管理を担当。会社で生産する全商品の検査を行うという、責任の重い業務に就いている。また、工場内での障害のある従業員の相談役もになっていて、同社のハード、ソフト両面で重要な役割を果たしている。インタビューでは、沖さんの二つの話が印象に残った。障害のある従業員についてたずねると、「17人の個性もそれぞれで、創業時からの従業員と、その後入社してきた従業員の世代間ギャップもありますし、高齢化も進んでいます。このような従業員の変化のなかで、化粧品をつくる仕事の効率化と、一人ひとりの役割をつねに考えています」という。さらに、従業員に対するサポートのポイントをたずねると、「サポートは人助けではなく“人造り”だと思う。障害=できないことではなく、個性や特技を持っている人として見つめ、支えることと、気持ちのサポートが大切」というコメントをもらった。この二つのコメントから、沖さんがこの15年間、自社から不良品を出さないよ●源み桃も果かさん(19歳)、聴覚障害。う企業内の「最後の砦と」としての責任感と、障害のある従業員たち一人ひとりの成長を見守る優しさを感じた。源さんは高校生のときに見学に訪れ、工場内のバリアフリー環境が整っていること、化粧品に関心があったことから2021年に入社した。社会人2年目になり、「学生のころとは異なる生活を送るなかで、働くことの責任を実感しながら、一生懸命毎日を過ごしている」と話す。源さんは、これまでいろいろなことにチャレンジしてきたそうだ。学生時代には手話コンテストに、就職後は今年6月に開催された地方アビリンピックに挑み、「製品パッキング」種目で銀賞を獲得するなど、今後の活躍が期待される。ちなみに同社には、過去のアビリンピックに参加した従業員もいて、兵庫県の地方大会で見事な成績を収めている。5人の先輩のように、源さんもナリスコスメティックフロンティアのなかに「働く居場所」を見つけてほしい。(3)工場見学とインタビューを終えて会議室に再び戻り、大西さん、松村さん、 かさう んきも ためて認識した「定着支援」への取組み谷さんと見学後の感想などについて、しばし懇談した。今回の取材では創業時からの従業員にインタビューをして、あらについて大西さんにうかがった。大西さんなもとりで製品の梱包作業にあたる源桃果さん製品の品質管理をになっている沖賢次さん製品をケースに詰め、確認作業を行う東條隆正さん働く広場 2023.1024
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